小説3

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2.ギリギリな担任たち



「なぁにをしている、おまえら、中に入れぇぇぇぇ」
「!?」

横から呻き声にも似た声がし、廊下の外で中の様子を窺っていたメンバーがそちらを見る。そこには、なんかの映画で見たような不気味な男がいた。

「うわっキモッ! 何コイツ!」
「もどきちょっと自重しようよ確か隣のクラスのキモ山くんだよ」
「白幕性別違うよ。キモ山って確か女だし」
「カッコいい…」
「その前に生徒って歳には見えないんだけど」
「誰今カッコいいって言ったの!?」
「お前ら黙れぇぇぇぇ」

頬を染めながら不気味な男が再び呻いた。
それまで喋っていたメンバーはそれを見て引いた。

(気持ち悪ッッ!!)

「いいから早く教室に入らんかァ!」

不気味な男があまりにも気持ち悪いので、廊下にいたメンバーは渋々教室に足を踏み入れた。
教室の中にいたメンバーは、突然現れた不気味な男に目を遣る。

「何あの気持ち悪い生き物」
「黒幕、せめて人間扱いしてあげない?」
「いや、あれ人間じゃないでしょ。むしろ生き物扱いしてやってることに感謝して欲しい」
「一応人間だろ! それは流石にひどすぎるよ!」
「担任よ」
「!?」

黒幕と座野が衝撃の一言に振り返ると、タオル男――二十日が続けた。

「それが3年96組の担任、例野阿之人先生よ」
「た、担任だと…!?」
「この化け物が?」

生徒達は再度不気味な男に目をやり、声を揃えて

「いや、ない」

と言った。

「こるあぁぁぁぁぁぁお前たち、なめてると痛い目見るぞぉ!?」
「担任の台詞じゃねえよ」
「初対面で早速体罰!?」
「教育界の将来が心配だわー」

黒幕、座野、ひろきは明らかにこの不気味な男を認めていない目をしていた。

「あなた達!! 教育界の将来なんてどうでもいいからさっさと席に着きなさいグズ共が!!」

その時、教師にあるまじき発言を2つもしつつ、また新たに教師らしき誰かが教室へ入ってきた。タマネギを模した奇抜な髪型に真っ黒なドレスを着た60代ぐらいのおばさんだ。

「今度は何だ!?」

それ以外にひろきは何をツッコめばいいか分からなかった。

「それは副担任のMrs.腹黒柳よ」

二十日が言う。

「これが副担!?」
「Mrs.腹黒柳って、下の名前は何処にいったのよ」
「何言ってんだよ。下の名前腹黒柳だろ?」
「お前ら黙れ!!!」

ひろきは黒幕と座野の世話と担任たちへのツッコミを1人でやるのがいい加減面倒臭くなってきていた。しかしこんなことで黒幕と座野が黙るはずがない。
するとたくとに肩を叩かれた。

「たくと…」
「お前はよくやったよチャナ…」

カシャ
2人が見ると、神無が興奮気味にカメラを向けていた。

「これがリアルベーコンレタスってヤツね!!」
「何撮ってんだお前ェェェェェ!!!」
「キャー息もピッタリ!」

どうやら神無はそっち系のようだ。

「アナタ達!! 人の話を聞きなさい! 席に着けと言ってるでしょうクズ共が!!」

Mrs.腹黒柳が再びキレる。しかも語尾の暴言がさっきより若干酷くなっていた。
そこへ黒幕が近付いていく。

「うるさいですクソババア! アンタに指図されるような謂われはありません!!」
「なんで暴言吐いてるのに敬語!? どっちかにしろよ!」
「まあ誰がクソババアですって!? ババアは余計よおチビさん!」
「ババアは余計って…残るのクソじゃん!! ってこれ結構使われてるギャグだぞ!? 新しくないからな!」
「ああ゛!? 誰がチビだとおぉぉぅぅぉぉぅぅぉぉぅ!!? 人が下手に出りゃ調子に乗りやがってヌッコロす!!!」
「あっこ落ち着いて!!」

暴走スイッチが入った黒幕を、菜々とみやもっつあんが2人がかりで止める。しかし2人でも足りそうになかった。

「つーか下手に出りゃって、仮にも教師と生徒なワケだし、一応下手だろ…」

そんな状況でも、たくとはツッコミを続けていた。

「ちょ、ツッコんでないでたくとも手伝ってよー!」
「無理無理!! 暴走した黒幕が俺っちに止められるワケないだろ!?」

結局、まだ誰もまともに席に着いていないのである。Mrs.腹黒柳はいい加減ネジが外れそうだった。

「アンッッタ達いい加減にしなさい!! 3年にもなって恥ずかしいと思わないの!? シバくわよ!?」

ようやく一部の生徒は仕方なさそうに席に着こうとし始めた。

「てか、席何処?」

しかし、誰も自分の席を知らなかった。



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座野「ところでタイトルのギリギリな担任たちって何がギリギリなの?」
黒幕「え? 著作権とかじゃないの?」


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