Noir fleurs

□彼女を愛しく思うのは
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ロココとはひょんなことから知り合って、ひょんなことから付き合いだした。
彼女に好意を持っていたけれど、まだ、本当は人を好きになるのが怖かった。


あの日の悪夢。
繰り返される情事。
俺の上でゆれるオンナ。

愛されていると思っていた。
だからこその行為だと。

けれど結局、彼女にとっての俺はただの遊び相手だった。


それなのにまた、俺は女を好きになっている。
馬鹿なことだと思っていながら、気づけば彼女を目で追っている。

――ほら、今もまた。



「何見てるのヨ」
「今日も可愛いなあと思って」

にっこり笑って言えば、真っ赤になるロココ。

「馬鹿じゃないノ…」
「あは、ひどいな」


後ろから華奢な彼女を抱きしめる。
耳元で出来る限りの優しい声。

「俺はいつだってロココのこと、可愛いと思ってるよ」
「…っ!」

ばっと振り払われて、残念と呟くと、憶えてらっシャイと言われた。
なんだろ。

別にいいけどね。
ロココになら、何をされても。







ぴしり、と乾いた音が響いた。
緋い髪の男の背中に紅い筋が走る。

「…ッう、あぁ…っ!」
「昼間の、何ナノ?あれ」

ねえ、と答えをねだる彼女を見上げる。
目が潤んでいるせいで、彼女の顔がぼやけた。

上半身だけ脱がされ、後ろ手に縛られた状態で跪かされていても屈辱だと思わない自分がいる。
それは被虐趣味だからでも何でもなくて、ただ、彼女が好きだから。

「あは…可愛いものをカワイイって言っただけじゃない」
「本当に減らない口ネ」

顎をくい、と持ち上げられて視線を合わさせられた。
堪らなく、ぞくぞくする。

「お仕置きされたりないノ?」

蔑むような色を浮かべた冷たい蒼眸が、俺を貫く。

「ねえ、どうされたいノ?」
「…ん、…ッ!」

彼女の細い膝が俺の熱源を微弱に刺激してくる。
頭が熱くて、もう何も考えられない。
浅い息を繰り返せば、ロココが艶やかな笑みを浮かべる。

「何ヨ、鞭に打たれただけで感じちゃうワケ?」

くすりと笑いを溢して、布越しにそこに触れる。

「どうして欲しいのか言ってみなさいヨ」

耳元で甘く紡がれる囁きはまるで蜜毒。

「もっと…むちゃくちゃに壊してよ」


そう、壊してほしい。
俺があの悪夢を忘れられるように。

「壊されたいなんて、変なヒト」
「あは、ひどいな」



お願い。
俺に、『キミに愛されている』って自覚を頂戴。

どんなにひどくしてもいい。



ただ、キミが愛してくれるなら。



+++

うちのDS(ルージュ)×魅闇さんとこのDS(ロココ)でした。

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