Noir fleurs

□青い薔薇
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蒼い花ばかり咲いている庭で、のんびりと花冠を拵えていた幽闇の耳に、忙しない足音が二人分聞こえた。

「幽闇聞いて!コイツムカつく!!」

「ちょっ……離して頂けないかしら」

いつもの紅い髪の猫耳少年姿に化けている双子の兄弟が、異国風の服装をした少女の手首を掴んで走ってくるのが見える。

「どしたの」

「ちょっと聞いてコイツマジムカつくから!何様!?って感じだから!」

そして彼は少女の世界へ暇つぶしに降臨した話をした。

「ホンット有り得ない位にムカつくよね〜幽闇の素直な可愛さを見習ったら?」

「あら……」

少女が口を開きかけた時、幽闇がサラッと言った。

「そんな事ないよ。この子可愛いじゃない、綺麗な金髪で」

「まぁ」

「ちょっ……!何言ってんの!?幽闇の黒髪の方がよっぽど綺麗だよ!?」

「ごめんねー、宵闇本当はそんなに悪い子じゃないんだよ。はい、お詫び」

少女の頭にシロツメクサ(だが蒼い)の冠を乗せる。

「これからも仲良くしてあげてね」

「貴方がそう仰るんだったら……考えてあげてもよろしくてよ」

「良かったぁ」

にこにこと笑っている幽闇につられて少女もまた笑みを零した。

「ねぇ、君の名前聞いても良いかな?」

「あら、人に聞く前に自分から名乗ったらどう?」

「そうだね、僕は法龍幽闇。好きに呼んでいいよ」

「そう。じゃあユアンって呼ぶわね。私の名前はロゼリエ=A=ナハトブルクよ」

「じゃあロゼちゃんだね。そう呼んで良い?」

「ええ」

蚊帳の外だった宵闇が和やかな雰囲気を一瞬にして破壊した。

「ちょっと!何ボクの幽闇と勝手に仲良くなってんのさ!!」

「まだいたのね?」

「いるよ!勝手に懐柔しないでくれるかな?ボクの可愛い幽闇にキミの慇懃無礼が伝染ったら困るから」

「貴方達、どういう関係なの?」

宵闇を無視して幽闇に聞くロゼ。

「宵闇は僕の双子の弟さ」

「だから!!勝手に幽闇と喋んないでよ!!」

「あらあら男の嫉妬は醜くてよ」

「残念でした、ボクらは男じゃないよ。ついでに女でもない。神様だから性別とか血液型を超越してるのさ!」

「貴方と全然似てないのね」(内面的な意味で)

「そうかな?僕はそっくりだと思うよ」(外見的な意味で)

「だ・か・ら!!!!」

「仲間に入れて欲しいなら言いなさいよ」

「違うって言ってるだろ!」

「二人共楽しそうで何よりだよ」

ロゼは元の世界へ帰る時、幽闇から沢山お土産を貰って帰った。




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