Blanches fleur

□アナタしかいらない
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普段とは違う、吐息混じりの声がロゼの唇から溢れる。
白磁の肌に、散らされた朱がよく映えた。
いつも綺麗な『旋律』を奏でる指は、今はシーツを握りしめている。


「…ロゼ、大丈夫か?怖かったらいつでも言えよ?」
「…平気…」

寄せられた眉と、薄らと開かれた濡れた紅眸が堪らなく扇情的で、ラグは思わず喉を鳴らした。
自分を落ち着けようと、ロゼの金髪に手を伸べて撫でる。
彼女は嬉しそうに目を細めた。

「なあ」と声を掛けると、なぁに、と目で返された。

「ほんとに…俺でいいのか?」

ロゼは一瞬目を見開いてから、ふっと笑った。
細い腕をラグの首に回す。

「ラグじゃなきゃ嫌……貴方しか、要らないの」

僅かに強請るような色を帯びた囁きは、溶けるほどの熱を孕み。
彼は自分の中心が情欲で灼けつくのを感じた。

欲望がどくりと強く脈を打つ。


「…悪い、もう我慢できねえや」




貫く刹那、彼女が挑発的に笑うのが見えた気がした。

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