D灰Novels

□窓を開けると…
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「こんばんはー…ジェリーさん…お水下さい…」
「あら…アレンちゃんじゃないの。その様子だと……また寝付けなかったの?」
「ええ…でも大丈夫ですよ。」

無邪気に笑ってみせた。

「あんまり無理しないでね。はい。お水。」
「有り難う御座います。」

水を受け取り、空いてる時の僕の定位置に座った。

こんな時間だと言うのに人がまだ数人いる。
科学班の制服が目立つが…そこはあえてスルー。
しかしその中に見慣れた背中があった。

「神田??」

その名前を口にすると彼は振り返らずに言った。

「モヤシか…」
「モヤシじゃないって何万回言ったら分かるんですか!!」
「モヤシはモヤシだ。」

もう…と言いながら僕は席を代える。

「何でこっち来んだよ。」

少しキレている様な口調だが、実際はそこまで怒ってはない……はず。

「何の本を読んでいるんですか?」
「質問に答えろ。」
「…へぇ…青い鳥ですか…」
「人の話を聞け。」
「わわ、待って下さい。分かりましたって。神田が居るからこっちに来たんです。文句ありますか?」

流石に六幻をこっちに向けられたんじゃ、答えるしかない。

「俺は戻る。」
「えー…もう行っちゃうんですか?」
「お前も早く寝ろ。」
「…はーい…」

素直に僕も部屋に戻ろうとしたが…また頭の痛みが戻って来る。
これは落ちた時の痛みじゃないらしい。

「っ……あぁっ!!!」

さっきよりも激しい痛み。
どうしちゃったんだろう。僕。

「モヤシ??!!」
「ぁいた…大丈夫ですよ…すぐ治りまっ……神田…戻って…いたぃィィィ!!!」
「…〜っち!!!」

舌打ちした後、神田は黙って僕をおんぶして自分の部屋に僕を連れてったのだった。
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