ぺるそな3
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俺が転校初日の湊に声を掛けたのは、ぶっちゃけこいつの事が気になったから。
あ、勿論疚しい意味で。
登校中の湊を見掛けて(その時隣にゆかりッチが居たらしいけど眼中になかった)、またも疚しい意味で『可愛い』と思った。
この時は単に気になっただけで、この後まさか自分がこいつに恋するとは夢にも思わなかったけれど。
まぁ、湊は特別だな。
ともかく、取りあえず今日の俺の目標は湊の声を聞くこと。
偶然にもこいつと同じクラス、席も隣だったから。
この時ばかりは神様や仏様、ヘルメス様にトリスメギストス様にサンキューと言いたいと思ったね、俺!
だから放課後、勇気を振り絞って声を掛けた。
え?そこまで想ってるのに声を掛けたの放課後かよって?
仕方ねぇんだよ…
だってよ、あいつ休み時間になると1人で居るのが好きなのか、どっか行っちまうし、昼休みだって、同じくどっかで飯食ってきたみたいで予鈴がなるギリギリに教室に戻ってくるんだ。
だから、放課後になっちまったって訳。
「よ!転入生!」
内心心臓が高鳴るのを抑えつつ声を掛けると、声を掛けられた事に驚いたのか、ただでさえ大きい目を更に見開いて俺を見つめ、たった一言、
「…誰?」
と言った。
…誰?って…アナタの右隣の席の者ですよ、俺。
確かにアナタ休み時間教室には居なかったけれども。
とにかく俺の湊の声を聞くという目標は軽く達成。
まぁ、予想外だった!
だってよ、こいつ声まで可愛いんだぜ?!
声変わりしても人よりほんの少しだけ高い声で!
まさに顔にあった声?!みたいな?!
…と同時にしまったと思った。
(…ヤベェ…好きになっちまったよ…)
声を聞いただけで『気になる人』から『好きな人』に変わってしまった。
マジ何なんだ俺は…どうなってんだ俺の脳みそは…
その後はゆかりッチが来て、3人で少し話をして。
ってか俺は興味があったから湊の事しか見て無かったけど。
そう言えば昼休みに友近が、ゆかりッチとあいつが一緒に登校していたと言っていたのを思い出して、それを話すと、ゆかりッチは慌てた様子で弁解していた。
しかも小声で『昨日の夜』がどーたらこーたらと。