ぺるそな3
□緑の空の金色と眩暈を伴う胸の痛み
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それは
この世の物とは思えぬ程に
美しい月でした。
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緑の空の金色と
眩暈を伴う胸の痛み
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「何時見ても影時間の月は綺麗だ。」
荒垣さんや幾月、桐条先輩の父親が立続けに亡くなり、更に僕の中からファルロスが居なくなって、アイギスが1人僕の為に戦い、壊れた後、徐々にだがそう思う様になった。
緑に澱んだ世界。
棺になった人間。
辺りに溢れる赤い液体。
そして金色の巨大な月。
全てが美しく見える。
まるで、本当に世界の終わりの様で。
まるで、あの人達を弔っている様で。
まるで、僕のことを責めている様で。
「オルフェウス、君を壊したタナトスとは上手くやってるのかい?」
そう独り言を呟いた影時間。
どうしてもオルフェウスだけは合体させる事ができなくて、でも流石に戦闘には加わってはいないが、今まで共に戦ってきた。
そして、ファルロスがいなくなった事によって呼び出せる様になったタナトス。
元々は綾時…否、デスとして僕に封印されていたようだが、ファルロス(今思えば彼がデス本人だった)がいなくなった代わりにペルソナとして呼び出せる様になった。
これはデスの『人間』としての想いがそうさせたのだろうか。
そんな事を考えながら1人フェンスの無い寮の屋上で、靴を脱いで裸足のまま落下防止の1メートル程度の段差に座り、足を投げ出して遥か下から吹き上げる冷風を直接素足に感じながら緑の空と欠けた金色の月を仰いでいた。
―…それなりに上手くやってるよ…―
ふと、オルフェウスの声が聞こえた様な気がして、辺りを見回した。
「…気の所為か…」
ふと溜息を吐き、1人、冬の空の寒さに身震いをした。
持って来ていた召喚器を何となしにこめかみにあてる。
「今、ここから落ちても、誰も悲しまない様な気がする。」
そう呟いて立上がり、月を背にオルフェウスの名を呼び、引き金を弾いた。
ぐらりと視界が後ろに揺らいで、弾けた硝子の様な破片がオルフェウスの形を造っていく。
「あぁ…オルフェウス…綺麗だね…」