ぺるそな3

□その、訳を。
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嫌われたくなかった


キラワレテイタカラ


嫌われているのが分かっていたから


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その、訳を。



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満月が近くなると唐突に、しかも夜中に現れる囚人服の子供。


「やあ、こんばんわ。」

(まだ満月には日にちはあった筈、何故この子供はやってきたのだろう。)


「ん?僕が来た理由?僕は常に君と共に居るんだよ?来るとか以前に共に在る。」

「…人の心を読むなって、お母さんに怒られなかった?」

「僕には親なんて居ないよ、居るとすれば……僕の話はいいよ。僕が来た理由だよね。」


子供は目を細めて笑った。
子供らしくない、大人びた言動。
僕はこの出会って数ヵ月しか経たない子供と過ごす時間が、堪らなく心地よかった。


「君を見ていて苦しくなったから。」

「…?…」

「君は何でも淡々とこなすね、カッコいいし、頭も良い。勇気だってそこらの人よりある。なのに君は哀しそうだ。それも、常に。」

「…褒められてる?けなされてる?」

「褒めてるよ。だけど、それは本当の君じゃないよ。本当の君は、もっと素直で笑う子だったよ。」

「…そうかもしれないね。」


昔の記憶なんて事故にあった時に無くしたけど。


「君がそうなっちゃったの、僕が来た所為だね。」

「違うよ。それは、違う。」

「あはは、随分強く言うね。(でもね、本当に、僕の所為だから。君の両親も、本当の君を殺してしまったのは紛れも無く僕だから。)

「…本当に違うのに…」

「僕がいなくなったら、きっと、ちゃんと笑えるようになるよ。」

「居なくならないでよ。」


君が居なくなったら。
大人びた口調の幼い君が、何処と無く僕に似ている君が居なくなってしまったら。


「…どうしたんだい?」

「嫌いになった?僕の事。」

「嫌いじゃないよ、僕は君だから、僕は君を嫌いになる事なんて無い。これから先も、ずっと。」

「よかった。」

(今、わかったよ、僕の影響もあるけれど、嫌われるのが怖いから、君はそうなってしまったんだね。)


そう言われて酷く、安堵した。
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