ぺるそな3
□The World.
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順平の声と皆の足音が近付いてきた。
あぁ、良かった。
皆、全部思い出したんだね。
皆、アイギスをよろしく。
僕は、行かなきゃいけないところがあるから、そっちにいくよ。
僕にしか出来ない最後の仕事。
僕は激しい疲労と睡魔に襲われ、ゆっくり意識と肉体を手放した。
もう、全てやり終えたし、アイギスも大丈夫そうだから、この世界に未練は無い。
春の暖い風と、穏やかな光に包まれ、僕の意識は見覚えのある空間へと昇った。
最後にニュクスと戦った場所、ニュクスを封印した場所。
大いなる宇宙。
そこに僕の探している人が居る筈だ。
「あ、見つけた。」
難なく捜し人を見つけると、子供の様に眠る彼を包みこむ様に抱き締めた。
僕の目に映った彼は、最後に戦った『ニュクス・アバター』の姿ではなく、学園生活を共にした、『望月綾時』の姿だった。
「…ん…ぅ…?」
僕が触れた事で彼は僅かに瞼をあげた。
「あ、起こしちゃった?久しぶり。」
そうごく普通に話しかけると、彼は信じられないと言わんばかりに目を見開いた。
「…っっ…!キミは…!どうして…?!」
「綾時が淋しがってると思って、僕も来ちゃった。」
「…キミって人は…アイギスは?皆は?」
「皆、記憶取り戻したからアイギスは大丈夫だよ。多分。」
「…多分って…」
「でも僕が来て嬉しいでしょ?」
そう抱き締めたまま言うと、綾時は目を逸らし、俯いた。
「…うん…まあ…嬉しい…けど…」
「あれ?なんか不服そうだね?」
「そっ…そんな事無いよ!でも…キミがココに来って事は…その…僕の所為でキミの…人生台無しにしちゃった感じなのに…いいの?」
「いいの。僕が来たくて来たんだから。」
「…でも…」
「ええい!気にすんな!」
「あはは痛い痛い痛い!」
物凄い勢いで綾時の首を絞めると、笑いながらバシバシ腕を叩いてきた。
やはり痛みは感じるらしい。
「あのね、僕は綾時とずっとここに居るから。」
腕の力を緩めてそう囁くと再び驚いた顔で振り向いた。
「…え?あの…さ…今自分が言った事の意味、分かってる?」