ぺるそな3
□わたしは、大丈夫。
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貴方は、わたしの涙を拭うとゆっくり目を閉じました。
貴方がまた、手の届かない程遠くへ行ってしまったのに、不思議とわたしの心は穏やかで、貴方の肩へ手を置き、春の柔らかな風を感じています。
そのすぐ後、皆さんがわたし達の元へやってきました。
記憶を取り戻したのですね。
わたしは、1人では無いのですね。
わたしは皆さんを見、微笑みました。
嬉しかった。
皆さんが記憶を取り戻して。
わたしの生きる目的は、貴方の側にいること。
その筈なのに、貴方はわたしの、わたしたちの元から遠くへ行ってしまった。
でも、わたしは嘆きません。
貴方はわたしに生きる目的をくれた。
貴方はわたしに沢山の幸せをくれた。
それだけで、充分です。
わたしの中で貴方の存在はとても大きなものだから。
貴方は全てをやり遂げた。
貴方は生や死を乗り越え、特別な存在となった。
だから、今だけでも、休んで下さい。
貴方が遠くへ行ってしまって、わたしは少し淋しいけれど、わたしには、共に戦った仲間がいます。
だから、哀しいけれど、淋しいけれど、我慢します。
だから今はただ、ゆっくり、ゆっくり休んで下さい。
わたしは、貴方の側にいるから。
皆にも、すぐに会えますから。
「あれ?コイツ寝てんのか?」
「…たった…今…眠られ…ました……」
「…アイギス、何で泣いてんの?」
「…大丈夫、です…わたし…には…皆さん…が、います…から…」
どうしましょう。
折角貴方に拭ってもらったのに、涙が止まりません。
「アイギス?」
「…大丈夫、です…」
私は俯いて、貴方の頬を撫でました。
貴方の頬にわたしの涙が落ちて、まるで貴方も泣いている様に見えます。
《大丈夫だから、大丈夫ですから、貴方も安心してください、ね。》
わたしは、わたしに言い聞かせるかの様に呟き、小さく貴方に微笑みました。
「皆さんがいますから、わたしは、大丈夫です。」
終