ぎんたま

□おれのさがるねーちゃん。
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ひたすらに暇だったので、屯所の庭をブラブラ歩いていたら門の前で見張りの隊士が町娘と何やら親しげに話をしていた。



「…誰でィ…あの娘は…」



こんなムサい野郎共に気さくに話し掛けるとは珍しい娘だと感心し、ぼんやりと隊士とのやり取りを見ていた。
するとその娘は俺に気付いたのか、俺に手を振り声を掛けて来た。



「あ!!沖田さん!!」



呼ばれたのでそちらへ向かうと、その娘は見知った仲間であることに気付いた。



「何でィ山崎じゃねぇか。可愛い格好してどしたィ。」

「えへー可愛いでしょーこれでも一応俺仕事中なんですよ。」

「よっしゃ可愛いねーちゃんよ、ちょっとおにーさんと茶ァ付き合えィ。」

「ちょっとォ!!俺今仕事中って言いましたよね!?」



俺は山崎をそのままファミレスへ半ば強制的に連れて行き、軽くダベることにした。



「いやぁしかしホント化けた山崎はちっちゃくて、可愛いねィこんちくしょー。」

「こんちくしょーってなんですか…身長は兎も角、顔なら沖田さんの方が可愛いですよ。さっきもココ来る時も町娘たちが噂してましたし。沖田さんかーわーいーいーって。」

「あいつらは人の外見ばっかで本質的なとこをなんもわかっちゃいねぇ。んな奴等、俺ァごめんだねィ。ところでお前仕事中って言ってやしたがなんで町娘の格好なんかしてるんでィ?」

「あぁ、大きい仕事も無いんで、潜入捜査の訓練です。今週は町娘になりきる感じで。普通の娘からギャル系の娘まで満遍なく仲良くなれたし、潜入成功ですかね。訓練も仕事の内ですから。」



アイスコーヒーにミルクとガムシロを入れ、掻き混ぜるその手すらも今は自然と女らしくなっている。
流石は密偵、体に染付いているようだ。
正直、こないだの攘夷派浪士の格好よりこっちの方が似合っている。



「ホントにこの娘は仕事熱心で土方にゃー勿体ねぇ娘だねィ、全く。」
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