ぎんたま
□エコロジー生死論。
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屯所の縁側で、今日は非番にもかかわらずミントンに興じていない山崎がじっと空を見上げていたので、珍しいと思い、しばらく観察していた。
(…微動だにしねぇな…)
全く動く様子もなく、同じで姿勢で空を見上げている山崎。
何かあるのだろうかと思い、同じように俺も見上げるとそこには透き通った青空が広がっていた。
(…青空と…天人の船しかねぇよなぁ…)
と、突然山崎が独り言を言い出した。
「…あぁ…ダメだ…」
「怖いなぁ…」
「…キレイな空だね…。」
…?
なにがダメ?
なにが怖い?
確かに空はキレイだが。
「あ、ヤベ、泣きそうだ俺。」
「ダメダメ、泣いたらダメだ。」
「でも…嫌だなぁ。」
本当に泣きそうな顔をしている山崎を見たらいたたまれなくなって、俺はそちらへと向かった。
「オイ山崎、どうしたんなとこで。」
「あ、副長。…ちょっとした考え事です。」
「珍しいな。隣、良いか?」
「はい。」
俺が隣に座ると山崎は再び空を見上げ始めた。
なんとなく話しかけ辛くて俺はタバコに火を点け、煙を吐き出した。
「副長、俺ね、急に怖くなりました。」
どのくらいそうしていただろうか、突然山崎が空を見上げたまま話出した。
「なにが。」
「俺ね、輪廻転生を信じてる人なんですよ。それで、生まれ変わっても副長と一緒がいいなーって思ったんです。」
なんだよ可愛らしい事考えていやがって。
「んなことずっと考えてたのか。」
「はい。」
そう言って柔らかく笑う山崎を撫でると、少しばかり頬を染めた。
「でもね、ふと思ったんです。俺の考えてる生死論?って、この地球が存在している事を前提に考えてるなぁって。次に生まれ変わった時、この地球が凄いヤバい事になってたらやだなぁって。もし、その時地球がなかったら、二度と副長に会えないんだ、それは怖いなぁって。死にたくないなぁって。」
「…………」
何も、言えなかった。
まさか山崎がこんな重い事を考えているとは思ってもみなかったから。