ぎんたま
□全ては山崎の為でさァ。
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山崎が土方さんを好いている事に気付いたのはごく最近の事で、更にそんなにショックを受けなかったのを覚えている。
相手が土方さんなのが本気マジ超気に食わねぇが。
「山崎ィ、お前土方さんの事、好いてるだろ。」
見回り時に立ち寄った(サボりともいう)でにぃすで、茶を飲みながらストレートにそう聞けば、山崎は慌てた様子で喋り出した。
「なっ何言ってんですか隊長!!そっ…そんな事ないですよ!!大体俺もふっ…副長もおっ男じゃないですか!!!」
「じゃあなんでそんなに赤面してんだィ?」
「…うぅ…………」
「あーあ…密偵がそんなすぐ口割って…情けないねィ…」
「…だって…同性だし…副長は女の人に人気だし…凄い後ろめたいんですもん…仕方ないじゃないですか…」
山崎は俺より1cm身長が低いだけだ。
が、何故かこの時は酷く小さく見えた。
まるで悪い事をして叱られている子供の様に。
「まぁ確かにねィ。寄りによって鬼の副長を好きになるたァお前もだいぶバカだねィ。」
「…わかってますよ…だから俺はこのままで良いんです。」
「それで良いのかィ?お前は随分とMな奴だったんだねィ。じゃあ俺の奴隷になるかィこの豚野郎。」
「なっ…なりませんよ!!拒否します恐ろしい!!」
「あーらら残念だァ。だったら俺に任せなせェ。」
これは俺の気紛れ…と言う軽い理由では無く、ただ純粋に何とかしてやりたいと思ったのだ。
だって、山崎がこんなに土方さんに本気だったとは思って無かったから。
「…へ…?」
「相手が超気に食わねぇが俺が何とかしてやるって言ってんでィ。」
「えぇぇぇぇぇ!?」
「そう言えばお前明日からなべやに入るって?」
「は…はぃ…そうですけど…」
「…土方コノヤローのこと、任せなせェ…。」
我ながら黒い笑みをしていると思った。
「…ヒッ…ヒィィ…隊長…怖っ…」
「おっといけねぇ、いつもの癖でィ。まぁ、悪い様にはしやしねぇから安心しなせぇ。俺ァ山崎のんな暗ェ顔、見たくねぇだけなんだから。」
「うわ…こんな優しい隊長初めてみました…」
「まぁな、たまには良い人にならねぇとねィ。話のバランスが保たれねぇだろィ。」