「いくつかの論考

「子どもたちに必要な体験」

 3〜5歳の子どもたちにヴァイオリンで遊んでもらう企画を持った。習い事として左手は…などときっちり覚えてもらう必要等全くない。それだけにどれだけ楽しい、今までに無い体験、経験をさせてあげられるか。色々な事を考えさせられる貴重な体験だった。
 まず本物の楽器の音色を知ること。ピアニカ、ピアノ、笛、ヴァイオリン、タンバリン等などの音当てクイズ。そしてできるだけ簡単に楽器を持ち、弓を握って"ラ−"そしたらすかさずピアノでAのコードでハモるように合わせてあげる。
 そう、子どもたちに必要なのは音楽を奏でることよりも前に、音を出すこと、このシンプルだがきちんとした第一歩目の体験を持たせることだ。会がお開きになった後、子どもたちの大半が楽器の順番を待ち、どんどん新しい音、動きを編み出していくことに驚いてしまった。
 ヴァイオリンを教える時、楽器に触れてもらう時常に思っている。もしかしたらこの人はこの音をもっと伸ばした方が気持いいのかもしれない…自分の正しいと思う、理想としている音楽よりを教える前に、その子の、その人の価値観を一度認め、シェアするべきであると。
 そうすることで将来その子、その人がより自分らしく、音楽を通してしあわせを感じることが本当の音楽の意味ではないだろうか。
2007.9.15

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