はひ、と、苦しそうな声が、生々しい水音と一緒に聞こえた。

「痛かったら、歯を、立てて下さい」

優しく囁いた筈のその言葉にも、キャラメルを潤ませて、貴方は緩く震えながらふるふると横に首を振る。
どうしてなんて、聞くまでも無い貴方の性格だ。その瞳のキャラメルみたいに甘くてそれ過ぎる性格なんだから、きっと、僕を傷付けたくないとか、言うんでしょう。
身体や肩と同じように怯えているのか快感なのかわからないが、小刻みに震えるその唇からは熱くて、これもあまりに濃厚に押し潰されてしまいそうに甘い、荒い息が漏れた。

「綱吉くん」
「……っ、…」
「我慢は嫌です、綱吉くん」
「…、むくろ」
「ふたりで気持ち良く、」
「なる…なる、一緒、に…」

だから、と続けようとした瞬間、僕の背に抱き付くようにまわしたその手の切り忘れた長い爪が、深く埋まった。
ひう、と泣きそうな声を出した貴方の頬を撫でて、震える桃色のかわいらしい唇に口付けを落とす。
その潤んだ桃色をゆっくりと動かせばぽつりぽつりと言葉を紡いだ。

「す、き…だから」
「…はい」
「すきだから、印が、欲しい?」

ふるり、と、寒気がした。
涙に潤んだ蜂蜜みたいなキャラメルに掛かる瞼に長い睫毛が目立つ。

「そうです」
「っ…でも、俺、が骸に、」

息をするのに合わせて収縮するそれは、入っている僕に対する痛みから快感に揺れる境目に反応を示して、気持ち良さそうに僕を締め付ける。
キャラメルは未だに潤んでいて、怯えるように、動いてもいないのにはあはあと荒く肩で息をする相手の額に目を細めて、一度口付けてから安心をさせようとゆっくり舌を這わせた。
それにぴくりと反応した仕草に自身が同じように反応してしまい、なんだか、可哀相になってしまったりして。

「どうしても、」

それでも貴方ははじめて視線を反らす。
なんて言えば良いのかわからなくなったのか、困ったように眉を垂らして視線を反らし目尻に溜まっていた透き通った、人間らしい純粋で綺麗な血液を流して。
唇だけは言葉を紡ぐが声には出ない為、一度息を飲んでから、また桃色を震えさせて緩い、回らない呂律で紡ぐ。

「骸に傷を付けたくないのは、ね」

ぴいんと耳鳴りがした。
濡れて湿気に満ちたシーツをあなた方きゅうと掴む。それは、まるで何かに怯えるかのように震えてしまって。
その手に重ねた僕の右掌は貴方を落ち着かせようと思ったのに、震えていて、
それに、恥ずかしそうに、照れくさそうに、微笑んでくれたキャラメル。
あたたかくて恋しくて包まれてしまい、それ以外、見たくなくなるような、貴方が優しく緩んだのが嬉しくて幸せでやっと笑ってくれたと。



「むくろをすきな、あかし、なの、」



そのまま不意にこちらを見つけた蜂蜜色は、あまりに甘く揺らいで、揺れた。









傷付けて、
痕を付けて、
貴方に愛されたあかしが
貴方を愛したしるしが
欲しかった、僕。

すれ違い。

抱いて、
抱き締めて、
僕を愛しているあかしが
僕に愛されているしるしが
欲しかった、君。



couldn't agree.
It loses sight of each other.
Proof named It is you love me.
Sign named It is I love you.


(愛し過ぎるのも、また。)
(すれ違い)
(結局は、両想い)

end








couldn't agree.
It loses sight of each other.
I am encompassed by a sweet smell so I was happy only in it.
couldn't agree.
It loses sight of each other.
You loved me. However,
I was doubting it.
It is luxurious. Still.

couldn't agree.
It loses sight of each other.
Proof named It is you love me.
Sign named It is I love you.

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