「だーれかさんがだーれかさんがだーれかさんがみーつけた」
「……」
「小さいあーき小さいあーき小さいあ」



「君、音痴だね」

秋を感じる赤紅い景色に似合う、ちょっと肌寒い縁側には浴衣の貴方と俺。
溜め息を吐いた貴方はそれを呟く前に、ちゅ、と可愛い鳥の囀りみたいな音を立てて俺の目尻に口付け歌を止めた。
唇に付いてきた貴方の体温からふんわりと微かに感じる貴方独特の感触とが甘い優しさとなってそれに酔われる気がして、俺の歌を止めることには成功したようでくすくすと笑った貴方に俺は口を尖らせる。

「ねえ綱吉、弄華しよう」

と、そんな俺を無視して楽しそうに微笑んだままの貴方は首を傾げて近くにあった紅葉をひらひらと片手で振りながら呟いた。

「えう?でも…弄華って桜じゃ…」
「いいよ…紅葉でも」

いいのか。
なんとなく花くらべという名前があるだけに葉では駄目なのでは、と思うも別に本気で公式にやるわけでもないし、遊びのレベルなら良いかと苦笑う。
その俺の表情を見た後、じゃあ三十分後に家の中でね、と布団のひかれた後ろの部屋を指差して浴衣を翻して貴方は立ち上がる。その顔があまりに楽しそうで反論も反抗もできないまま紅葉を探した。



「どうですか、」

というわけでいきなり上からふってきた紅葉塗れになった俺はめげずに枝を布団の上に置けばにやりと笑った。
その俺の紅葉の隣りに並べられた雲雀さんの紅葉は濁り無く、雲雀さんらしいというかそう思える真っ赤ですごく綺麗だけど、橙や黄色の交ざったマーブルの俺のも、綺麗だと思う。
自信満々の表情で口の端をあげた俺を見て瞳を丸くした貴方はすぐに目を細めて視線をそらし、くすくすと喉で低くくぐもった笑いを漏らす。

「確かに、君のが綺麗だよ」
「本当ですかっ?やった……」

とガッツポーズを決めた俺の目の前に貴方の顔はあった。
目の前というのは目の前で、もう鼻先が付きそうなくらいぴたりと目の前。微笑んだままの楽しそうで緩んだ瞳が俺の瞳しか見れなくなっていると錯覚するくらい、目の前であって。

「ひ、ばり…さ、ひ、ゃあっ!?」

相手の台詞と行動にどうしたのかと目の色を白黒させていれば頬に生暖かいものが当たりびくうっと身体を跳ねさせた。
悲鳴とともにそちらを見れば艶めかしく赤く色付いた長い舌がべ、と意地悪く出されていて、俺はからかわれてるのか!と状況把握に成功して口を膨らませて雲雀さんの頬に同じように舌を這わせればふふんと鼻を鳴らして笑ってやる。

「俺が勝ったんですから俺の言うことわをばあっ…!!」
「元が、可愛過ぎるから…」

ばたーんっと派手な音を立てて布団の上に倒れれば、ずるいよ、と呟いた雲雀さんはそんな俺もやっぱり無視で額に口付けた後何度も何度も執拗に同じ場所にキスをしてくる。
耳を甘噛みすれば鼻の頭を軽く囓って、下唇を舐めてお互いの唇に触れるだけのキスをまた何度も、何度もすればやっと俺の頭を離さないように抱き締めて、深く口付けた。
ちゅ、くちゅ、と甘ったるくて恥かしい妖を誘う音を立てて角度を変える度につう、と口の端から垂れる蜜。しばらく口付けていた貴方も顔を離せばそれに舌を這わせて、ゆっくりと下に、下がっていく。

「可愛い…、可愛いよ綱吉」
「ふ、は…ぁ、ひばり…さん、」

雲雀さんとキスまでしかしたこと無い俺は何をする気なのかと突っ込みを確か入れるつもりだったのに、あまりに貴方が誘うような弱い声でそんな表情するから、忘れてしまった。
タイミングを逃した突っ込み程、辛くて困るものは無いのである。
貴方はそんな俺のことなんて知らずに浴衣の帯をしゅる、とゆっくり解かれ抜かれて、ぴくんと身体が跳ねた。相手の指先が浴衣の布を割って胸の突飛を掠めれば、つい足の指先がぴんと張って布団のシーツに皺を作る。

「ここ、野苺みたい」
「っぁい、だ…だめ…」
「美味しそうだね」

嬉しそうな声音で囁いた貴方は白くて長いその指でそこをくりくりと回す。
足と同じように張り詰めるように勃った貴方の言う果実を視界に入れたくなくてぎゅうっと目を瞑ればそれが癇に触ったのか、爪で引っかかれた。

「ひゃ、っう…ぁ、…」

さきっぽの窪みを弄られれば腕がぴくぴくと痙攣する。指先が小刻みに筋肉を収縮させて、無意識にぴくんと震える手のひらを真似るように身を震えさせる。
それを見てすぐに嬉しそうにまた微笑んだ貴方は、そこをくりくり捏ねくり回しながら空いた片手の左手で俺自身のまわりを撫でた。
患部に触れず隠毛をわざと撫でてくる為に、ちくちくと肌に小さな痛みを感じてしまって、それがやばい。

「ん、はあ…ぁ、」
「こんなとこを人に触られて感じるなんて、本当に君、女の子みたい…」
「ぁ、い、やです…う、」

あまりに甘くて寒気のよだつ低音ヴォイスでそんなこと言われたら、不本意にも、感じちゃう。
嫌だと言ってもあまりに貴方が普段と違うこんなことするから、気持ちがいいと主張し出した自身を押さえられなくてシーツを強く握って羞恥に耐えた。
雲雀さんにに触れられた場所かほてって熱くなって、それが身体中にぐるぐるまわって雲雀さんと肌が擦れるだけで、心臓の音は愚かそんな音さえ聞いてられない程触られてもいない主張したそこを触ってくれと無意識に腰が震えてしまう程、俺は、貴方に、弱いんだ。

「あ、ぅ…雲雀さん」
「…ん?どうしたの?」
「一緒に、気持ち良く、なりたい」

どうすれば、いいの?
続いた台詞は薄く相手に聞こえるか聞こえないかの遠い台詞になってしまった。
それでも聞こえていたらしく、貴方はこの行為がはじまってからはじめて、あまりに優しい安心したような笑顔で俺を見た。

「今日はいいよ」
「えう?」
「まだいい…君を怖がらせたり泣かせたりして、嫌われるのは嫌だからね」

俺の上に乗って倒れたまま、ね、と可愛く首を傾げて聞く。
でも俺ばっかりは嫌なわけで。

「き、らいません…雲雀さんのこと、嫌いになったりしません…、だから」
「おねだりなんてされたら我慢できなくなるんだけど…」
「我慢、しなくて、いいです、っ…俺は…雲雀さんと、一緒になりたい…」
「っ、多分、痛いよ?」
「、…構いません」

息を飲んだ俺に眉を下げて困ったような顔をするというあまりに珍しい貴方の表情にどきんとしたところで、貴方は近くにあったランプを真隣りまで引いてきてそこの油を指に付けた。
俺はそれを目で追って首を傾げていたが、こちらを向いて俺と目が合い苦笑いを漏らした優しい雲雀さんがそこにいた。
熱い吐息に、酔いそうだった。

(どうしよう、おかしくなっちゃいそう)
(気持ち良過ぎて)
(貴方のことが好き過ぎて)

(どうしよう!)












I just want you for my own.
More than you could everknow.
All I want for everyday is you.

You baby...



end

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