「オレに、最後をくれませんか」
好きな人間(ひと)だからこそ、貴方だけは抱けなかったのに。
抱きたく、なかったのに。
僕が貴方の命令をきけないわけが、絶対にないのはわかりきったことなのに。それは貴方もわかっていたくせに、
何故貴方はそんなにも切なそうな笑みで無謀なお願いを、。
それは僕もわかっていた
つまり総てが愛故に
これで終わる為に
相手のことを(ただの)にする為に
「本当にいいんですか?」
貴方の白い肌を露にしてからきっと、もう十数回は聞いた。本当に、貴方はそれでいいのかと。手が出せないでいたのに
貴方はゆっくり頷いて、
何時いても何度聞いても僕が聞いた十数回分全てにその儚そうな笑顔でお願いしますと言う。
「最初で最後の、最大最悪の命令」
普通の、友達として見たいんだと。
貴方は僕が貴方を好きだと知らないから、僕を好きでいるのが迷惑だと思ったんですか?
それともただ苦しかったんですか?
いつか昔、貴方に理由は違くとも同じように抱いてくれ、と頼まれた時、僕は早鐘を打つ心臓を押さえ付けて何度も自分を押し付けてやめなきゃいけないと説得させた。
なのに、
その言いつけを破ったような感覚。
これは、きっと貴方にとっても気持ちがいいわけはない。
それでもと、貴方が言うの為らば。
思いすぎて叶わない、此の思いをはぜさせてよいと許してくださるの為らば、
貴方のおっしゃる通り
僕にとっても
最後に夢を見せてください
此の腕で貴方を
抱かせてもらいます。
なんて、
(嗚呼これこそ)(両思い故片思い片思い故両思い)(もう嫌だ)(考えたら抱けなくなってきた)(つまりはそう)
お互いに
そういうことなんです。
(永遠の片思い)
(貴方のことが好きです)
end