旅の記憶

□I miss…U?
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恋人の名前は八戒。

深茶の髪で、翡翠の瞳。
落ち着いた感じで、猝無く何でもこなす。
怒ると恐いけど、普段は温和で優しくて。

そうだな…母親。
この俺が素直に甘えられて、時に俺を叱ってくれて。

優しい愛で包んでくれる。

一緒にいて落ち着くし…女と遊んでた時より自然体でいられる。

何より、俺は八戒を愛していて。
八戒も、俺を愛してくれる。
それは、ひどく奇跡的な事実。




「…ん」

旅の途中の宿。
窓からの光にゆっくり瞼を開ける。

愛しい人は、まだ俺の腕の中で軽い寝息を立てている。

幸せだな。
目を開けた時、最初に好きな人の顔が見れるってのは。

その幸せを噛み締めながら、いつもの様にその深茶の髪にキスをする。
「八戒。オハヨ」

睫毛が微かに震え、薄く開かれた翡翠を確認してからいつも通り口付けをしようと頬に触れる。
…と。

バキッ。

「寝呆けてんじゃねぇぞこのエロ河童」

返って来たのは全く予期せぬパンチと言葉。
思わず目を疑うが、確かにそれは…。

「…えι」


恋人の名前は八戒。
普段は温和で優しくて。

恋人の顔をした他人が目の前に現れたら…。
どーするι
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