読物

□うたたね
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春の日の夕暮れ。久しぶりに来た依頼の仕事を終えた銀時が玄関を開けると、そこには脱ぎっぱなしの神楽の靴とそろえて置かれた新八の草履。の他にさらに行儀よく揃えられた見覚えのある草履が一足。
「ヅラ?」
それにしてもこの家の主の帰宅だというのに返事ひとつ無いとは待遇悪くね?と、やる気のない足音が部屋まで来たところで止まってしまった。
そこで銀時が見たのは。茜色に染まる部屋、新八と神楽がソファーで寝ている。ヅラに至っては定春にくるまって寝ているではないか。
おいおい、なに当たり前のように神楽の定位置先取りしてんの?お前仮にも攘夷志士だよね?なんで万事屋の一員みたいなカンジなの?ヒトには緊張感ないとか言うけど自分はどうなのよ。だいたい俺が久しぶりに労働してるっつうのに自分だけ安らいでやがるし。
でも。なんか久しぶりだ。ヅラのこういう安らかな寝顔。
天人との戦いの日々のなかの桂の寝顔は、眉間にシワを寄せていて苦悶の表情が多かったように思う。
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