Novel B


□もっともっと...
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『じゃ、亮介さん、おやすみなさい』
『おやすみ』

10時15分

いつもと同じ時間に
倉持は俺の部屋を出て行く

入り口まで見送りに行った俺に
少し照れながら
おやすみの挨拶をしてドアを開けると
真っ直ぐに自分の部屋へと歩き出す

その背中を少し見送ってドアを閉める

『なんであそこで、キスしてこないかな…全く』

ドアにもたれかかり
呟く

倉持とは付き合い始めてもうすぐ
1年
この部屋に来るのだってもう何度目だか分からないくらい

こうやって見送るのだって…




俺は、
好きなものに対して
とことん、貪欲だから

付き合い始めてからは
いつでも倉持の側にいるようになった


部活の休憩中は必ず隣にいたし
自主練の時間も合わせた
部室から寮へ帰るのも一緒で
部活のない日は1日中側にいたし
ヒマさえあれば同室の後輩を追い出し倉持を部屋に呼んで二人きりで過ごした


だけど
自分でも呆れてしまうくらい
倉持を好きになってしまった
俺の心は

そんなに
一緒にいても
全然、物足りなくて

もっともっと
倉持の側にいたい
もっともっと
俺だけのものに
なって欲しい

どこまでも
独占欲が止まらない
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