Novel B


□sweet dream
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夜9時
消灯時間まであと1時間半

同室の先輩達はそれぞれ友人の部屋へと遊びに行ってしまっていた。

自分も友達の所へ行こうかと思ったがあまり気が乗らず、
ゴロゴロとベッドに転がっていた。

こんな時に
思い浮かぶのは、あのヒトのコト

今日見たあのヒトの姿や交わした会話を丁寧に1つずつ思い出す

朝の食堂で見かけた眠たそうな顔、移動教室の途中に廊下で偶然会って交わした挨拶、真剣そのものの練習姿、合間の休憩に後輩をからかって笑う声、練習終了後に自室へと消えていった後姿…

なぞるように今日1日見たその姿を思い出し刻み付ける。

だけど
どんなにハッキリとその姿を描いても、
どんなに丁寧にその言葉を繰り返しても、
ほんのわずかしかない記憶では10分もしない内に最後に見たあの後姿に辿り着く。

もっと
近づきたい

もっと
側にいたい

同じ時間を共有していたい


―あのヒトの部屋に行ってみようかな

ふと浮かんだ考えはほんの少し前にもう考えたコト

だけど
考えただけで止めたコト
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