Novel C

□始まりの挨拶
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『えっと…』

まさか哲さんにそんなコト言われるなんて思ってもみなかった

てか、付き合うって…

『倉持?』

哲さんが戸惑う俺を心配そうな顔で見つめている

『あの…俺…その…』
『返事は今すぐじゃなくていい。ゆっくり考えてくれ』
『…はい』


それから俺は挨拶をして部屋を出た

自分の部屋に入ろうとドアの前に立つと

何人かの一年が来ているらしく
部屋の中からは叫び声や笑い声がやかましく聞こえてくる

普段なら「てめぇらうるせぇぞ」とか言いながらもその話に加わる所だが
今は一人になりたかった
大体、手に持ってるこの袋について聞いてこられたらメンドウだ

仕方なく自分の部屋に背を向け自販機に向かった

ジュースを買いベンチに座る

『はぁ・・・』

自然とため息がもれた

哲さん・・・


『倉持じゃねぇか』
『純さん!』

聞きなれた声に振り返ると純さんが立っていた

『何やってんだ?』
『ちょっと…』

純さんは答えれずにいる俺に構わず、ジュースを買うと
俺の隣に座った

しばらく二人とも黙ったままジュースを飲んだ

『で?何て答えたんだ?』
『え?』
『言われたんだろ?哲に』

「何を」とは言わないが
何のコトかはわかる

『…何も、答えてないっす』
『返事してねぇのかよ』
『哲さん、ゆっくり考えろって』
『まあ、アイツの言いそうなコトだな』
『純さん知ってたんすか?哲さんが、その、俺のこと』
『まあな』
『本気なんすかね?』
『ふ、アイツが嘘や気まぐれでそんなこと言うヤツじゃねぇことぐらい知ってるだろ?』
『・・・そう、すよね』

だからこそ
ますます分からない
何で俺なんだろう?
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