Novel C

□始まりの挨拶
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純さんの部屋の前まで来ると

『はぁ』

溜め息を一つついて

『…失礼しまーす』

ドアを開き中に入った

『倉持、早かったな』
『え?哲さん?』

部屋の中には何故か哲さんがひとりで椅子に座っていた

『どうしたんすか?』

自宅通いの哲さんがこんな時間に寮にいるなんて合宿以外じゃ初めてだ
しかも、哲さんは既に引退しているのに

『今日はこっちに泊まることにしたんだ』
『そうなんすか。あ、俺純さんに呼ばれて来たんすけど』
『純は亮介達と出掛けたぞ』
『え?』
『気分転換に素振りをしてくるそうだ』
『えぇ!?』

何すかソレ!?

『じゃ、ちょっと探してみます』
『待て』
『え?』
『お前を呼び出したのは俺だ』
『えぇ!?哲さんが?』

俺、何かしたか!?
哲さんに呼び出しくらうなんてそーとーヤバい

まさか、この為にわざわざ寮に泊まってるのか?
いや、さすがにそれはないか

先輩で前主将でもある哲さんに怒られたり注意を受けたりということは今までに何度かあったが
1人でわざわざ部屋に呼び出されるなんてこれが初めてだ

何を言われるんだ?

恐る恐る哲さんの顔を伺うと
真剣な表現で真っ直ぐに俺を見据えている

ジワリと額に冷や汗が浮かぶ

今にも逃げ出してしまいたい
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