Novel C

□境界線
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『コレ付き合え』

立ち上がろうとする倉持を引き留め
そばにあったゲームソフトを指して言った

『えぇ!?』
『文句あるか?』
『だってもう12時過ぎっすよ?』
『お前がビデオ見るの付き合ってやっただろーが』
『それは…』
『それに明日は朝練休みじゃねえか』
『わかりましたよ!付き合わせていただきますよ!』
『よし』
『…横暴』
『なんだと?』
『わー!すんません!あ、始まったっすよ』



『…あっクソ!純さんソレずりぃっすよ!』


ついさっきまで嫌がっていたのに
ゲームが始まった途端に画面にかじりつく
その顔が子供のように真剣で
「ホント、ガキみてぇ」
なんて心の中でが同時にたまらなく可愛くも思えてしまい
見つめていると
ジワリと体が熱くなる

――押し倒してぇ

なんて、不埒な欲望が沸き上がる


『っしゃー!勝った!』

喜々とした表情の倉持にそっと近づく

『純さん?』

不思議そうに見上げる倉持の肩に手を置く

『なんっスか?』

不安そうに揺らぐ瞳に俺だけが映っている



引かれていた見えない線が切れる音が聞こえた





end.


『境界線』
2008.8.24.
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