Novel C

□境界線
2ページ/3ページ

『すんません!遅くなって』

廊下でバタバタと足音がしたかと思うと
ノックもせずにドアが開き
倉持が慌てて入ってきた

『遅ぇぞ!てか、ノックぐらいせんか』
『すんません!…あれ?他は?』

倉持が俺しかいない部屋を見渡す

『知るか、どっか行ってんだろ?』
『へぇ。あ、また純さんがいじめたんじゃないっすか?』

倉持が悪戯っぽく言う

『そんなコトしねぇよ。お前がいじめられてぇのか』

プロレス技をかけるフリをしながら言う

『や、冗談っすよ!ジョーダン!それより、早くビデオ見ましょーよ!』

俺は用意していたビデオをデッキに差し込むと
再生ボタンを押した

試合が始まると倉持は食い入るように画面を見つめる
既に1度ビデオを見ている俺は横目でその真剣な横顔を見つめる


『…ここのピッチャーのフォークには要注意っすね。スピードはあんま速くないけど、かなり落差あるっすよね?』
『ああ』

試合をひと通り見終った後で倉持が感想を言う


『…やべ!もうこんな時間』

しばらく対戦相手について話していると倉持が急に声をあげた

『じゃ、ありがとうございました』
『帰んのか?』
『そっすけど?』
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ