Novel C

□全ては愛する君の為に…
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全ては
愛するキミの為なんだ…





『純さん、この後…』

『…おう』

夜の食堂で誰にも聞こえないように純さんに耳打ちする。

純さんは眉をしかめ不機嫌そうな顔をしながらも俺の誘いに乗る。

どんなに嫌そうな顔をしても断るはずなどない。
そして、それは純さんから誘われた場合も同じで、俺は決してその誘いを断る事はない。

俺達はこうやって誰にも気づかれないように誘い合い、誰にも見つからないように使われていない部屋に忍び込む。

そこで、お互いの情欲をぶつけ合っている。

口付けて肌に触れ、お互いを満たし合い。体に溜まった愛欲を吐き出し合う。

だけど、どんなに強く抱き合っていてもそこには恋人同士のような甘さは無く、優しい言葉も無い。

ただ、がむしゃらに身勝手に自分の中に溜まったものを吐き出すだけ。

お互い好き合っているわけではない。


俺は、口付けをしながら瞼の裏には違う人の顔を想い浮かべている。
そして、それは純さんも同じ。

俺達はお互いに目の前にはいない同じ人のことを思いながら、抱き合っている。

お互いを、ひどく憎み合いながら。



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