Novel C

□始まりの挨拶
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『倉持』

夕食を食べ終え席を立とうとした時、後ろから呼び止められた

『純さん、なんすか?』
『お前、これから風呂だろ?上がったら俺んトコ来いや』
『いいっすけど。珍しいっすね、純さんの部屋呼ばれるなんて。何かあるんすか?』
『まあな。じゃ、とっとと風呂行って来い。あと、お前ひとりで来いよ』
『え?なんすかソレ?』
『いいから。絶対、1人でだぞ!じゃあな』

純さんは言いたいコトだけ言うと食堂から出て行ってしまった


くそぉ、行きたくねぇな…

別に純さんがイヤなワケじゃねぇ
むしろ、先輩としても男としても尊敬している

けど、今回はなんだかイヤな予感がする

わざわざ1人で来いなんて
絶対なんかある





『はぁ』

風呂に浸かるとつい溜め息がもれた

『ど〜したんだよ?珍しいじゃん、お前が溜め息なんて』

隣にいた御幸が興味津々な顔で聞いてくる

『ああ、この後さ純さんに呼ばれてんだよ』
『何だいつものコトじゃん?』
『引退してからは初だ。しかも』
『しかも?』
『絶対、ひとりで来いとよ』
『マジで?そりゃあ何かあるな』
『だろ?行きたくねー』
『ははっ!ま、頑張って』

御幸は人事のように笑って言う

たく、人の気も知らねーで…



あぁ、行きたくねぇ
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