Novel C

□境界線
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俺とアイツの間に
見えないけれど
確実に在る
見えない線
いつかソレを越える日が来るんだろうか…




『純さん!今日、次の対戦相手のビデオ見に行っていいっすか?』

部活が終わり、更衣室で着替えていると倉持が声をかけてきた

『はあ?…しょうがねぇなぁ』

いかにもめんどくさそうな声で答えるが

内心はまんざらでもなく
むしろ、喜んでいるくらい

俺は、こうして時々、倉持が俺の部屋に来るのを
密かに楽しみにしている



夜、食事と風呂を済ませると倉持が来る前に同室の後輩を「今夜は帰って来んな」と言って追い出した

倉持が来るまで時間を潰すために雑誌を開くが
外で足音がする度に耳が反応してしまい
全然、集中出来ない



『…ちっ』

雑誌を一通り見終わり
時計を見ると9時過ぎ

何時に来る、と決まっているわけじゃない

明日は一日オフだから時間を気にする必要もない

だけど
それでも少しでも早く来い、と思ってしまう
そうすれば一緒にいる時間が増えるから

ホント、重症だよな

相手は部活の後輩で
年下のくせに生意気で
顔だってちっともかわいくなんかねぇ

そんなヤツに
こんなにハマっちまうなんて
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