‐Darkness Sword‐
□新【Darkness Sword】第二章*出会うはずのない者達*
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フォーリィ『クリス、これから私達が会いに行くお方の事は、死ぬまで黙っていて下さい。』
クリス『人?、それは承知いたしましたが、何故にございますか?』
フォーリィ『クリス、古の魔女の話は知っていますか?』
クリス『はい、幼き頃より父から聞いておりましたおとぎ話に出てくる、古の魔女、ガラダラの事でございますね?
確かガラダラは、その身にそぐわぬ魂を禁術を使って取り込み、国一つを道連れに自滅したと言う・・・』
フォーリィ『そうです、もう50000年前の話なので、今では子供が過ちを犯す事のないよう、おとぎ話として語りつがれていますが、・・実はあれには、賢者様が記した一冊の書物にのみ、続きが記されているのです。』
クリス『続き、でございますか?』
フォーリィは大広間に向かう道中、ゆっくりと、語った。
フォーリィ『遥か昔、占い術に長けた東の魔女がおりました。
魔女はさい果てに住む賢者様を、一目見て好きになり、何とか振り向いてもらおうとしました。
しかし魔女だと言う事を、賢者様に言う事は叶いません。
何故なら古来より魔女は短命で、故に魔力は一般天上人の数百倍。
昔から、化け物と罵倒されてきたのです。心ない国の兵士達から魔女狩りを受け、いくら魔力にすぐれる魔女も、武力には勝てませんでした。
それから、生き残ったそれぞれ東西南北を統べる魔女4人は、残り数百年を、隠れて過ごす事にしたのです。
所が東の魔女は、あろう事か魔女達の仇でもある天上人、さらには賢者様に恋をすると言う裏切りを働いていたのです。
賢者様の家に魔女は100年通いました。
魔術で天上人になりすまし、賢者様も、ガラダラを、天上人と信じ愛していたのです。
所が、2人が付き合う前から賢者様をお慕いしていたエメルと言う召使が、ガラダラの正体に気付き、ガラダラが魔女である事を賢者様に密告しました。
賢者様は怒りに震え、その夜、ガラダラを国から追放したのです。
ガラダラは嘆き悲しみました。
同時に、自分の血、魔女の魂を心から憎みました。
(こんな・・・魂さえ・・・・・魔女の魂じゃなく、天上人の魂に変われるなら・・・あのお方はまた・・・・我を愛して下さるに違いない・・!!)
魔女にはもう、賢者様にお許しをいただけるのはこれしかないのだと、禁断の術を用いて、天上人の魂と、自分の魔女の魂を取り替えたのです。
僅かな希望をむねに賢者様の住む神木でガラダラが見た物は、神木にはりつけにされ、ミイラになった愛しい人の成れの果てでした。
賢者様は、魔女ガラダラを愛した罪人として、国王の命のもと、処刑されてしまったのです。
ガラダラはミイラになった賢者様に泣き縋りました。
(ああどうしてこんな事に!!!!
・・・おのれ天上人・・・・・
よくも・・・・・
よくも賢者様を・・・・・)
ガラダラは残った魔女の力を解放すると、天上人8000人を癒える事のない奈落の底に突き落としたのです。
ガラダラは魔力を使い果たすと、天上人の魂に支配され、絶叫を上げながら消滅してしまったのです。』