‐小さな動物の物語‐

□〜第1話〜【闇の誘い森】・ベルベルの森・作成中〜
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ベルベルの森は別名【闇の誘い森】。
今は夜明けより少し前、木々は闇に溶けこみ小鳥や動物達の足音や鳴き声さえ、さわさわと葉がさえずる音が全てを掻き消している。別名通り、まるでさ迷える旅人を、出口のない暗闇の奥へ奥へと誘おうとしているかのよう。
ベルベルの森の夜の闇を知っている者は夜は立ち入らないが、それと知らずに一度入り込んだ旅人は、森から出る事なく、疲れ果て命を落とす。
しかしそれは、夜明けが来れば一変する。
ひとたび光が差し込むと、それまで、闇に生きるカラスの羽のように黒く見えた木々や葉は、命を吹き替えしたかのように色鮮やかにその姿を表す。
朝日とともに小鳥たちは目覚め、青空色の長い尾が美しいオス達は一斉に巣から飛びたち、深緑豊かにそびえたつ木々の間を、綺麗な音色で目覚めの歌を口づさみながら、優雅に飛び交って行く。
木々はさわさわと気持のよい風を運び、まだ寝ぼけているリスやシカや動物達を、やわらかな風と鳥達の美しい歌で優しく起こしていく。


そんなさわやかな朝は、ベルベルの森に唯一作られている、一件の屋敷にもやってきた。
茶色とクリーム色のレンガが色鮮やかなお屋敷の庭には様々な野菜や果物を栽培している広い庭がある。

朝日の訪れとともに、庭のベランダから、両手を伸ばし、眠い目をこすりながら腕に吊るされたかごを揺らしながら出てきたのはこの屋敷の一人娘、【ルル】。

ルルはまだ覚めきらない顔をパシパシと両手で叩くと、新鮮で冷たい空気を深く吸い、その行為を2・3度繰り返す。

*ルル『ふぅ、今日も朝が来たわね、さぁ朝露をたたえた美味しい野菜や果物を摘むとしましょうか。』
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