海☆長編サブリエ(ブック)

□違和感
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「マナー、起きてるか?」


ほぼ意味のないノックと同時に入ってきたのはシャチだった。


その手に持っている食事は、言わなくてもマナのものだとわかる。
が、何故か他に大きめなおにぎりが五つ。それがサイドテーブルにおかれた。


「俺、腹減ったからここで食うな」


「あ、はい」


シャチの言葉に理解し、頷けば彼は早速おにぎりを口に放り込む。
その食べっぷりがよく、ついつい観察してしまえば、お前も食えよ。と促されてしまった。

うどんとカットフルーツ。
とても美味しく、優しい味がするのにも関わらずマナの手はやっぱり二口も食べれば止まってしまった。


シャチは最後の一つのおにぎりを食べながらその様子を見ていた。



「元から少食か?」


「…そう、かも」


「お前、船酔いなんてしてねぇだろうな?」



ギクリとマナの体が返事をした。

まあ、何と無くそんな気はしていた。
マナは船旅をしたことがないのだから。


「グランドラインの天候は予測不能、ただ、マナが乗ってる間はでかいサイクロンにはあってねぇ」


「そう、ですね。気候が変わってもいい天気ばかりでした」


「だからまだマシなのか…まあでも、こればっかは慣れるしかないなー」




そう。確かに航海は穏やかに進んでいた。一つだけ、海賊船に狙われただけ。
それがどれだけ運がいい事なのかマナには予想もつかない。


「シャチさん」


「ん?」



「この船は、よく狙われるんですか?」


ふとした質問にシャチは驚き、笑った。この船に、興味があるからしてくる質問だからだ。


「前よりは減ったな」


「前?」


「ああ、船長が七武海に入ってから」



「………しち、ぶかい?」


「は?」


「え?」


2人は別の意味で目を丸くする。
今ではトラファルガー・ローは七武海なのは有名な話だ。
それも二ヶ月ほど前のことだろうか。
新聞でもとりあげられているはずで……何故かマナはそれを知らないらしい。



「知らないのか?」


「七武海なら知っていますよ」


マナはムッと言い返す。
存在は知っているに決まっている。
マナは外に出られなかった分知識として新聞や本はそこそこ読んできた。


「船長が七武海入りしたの知らねぇのか?」


「……トラファルガーさんが、七武海入り…?」



マナは頭の中で復唱し、情報を整理する。

そういえば、最近新聞を見ていない…ような気がする。
毎日の新聞より、過去にさかのぼってトラファルガー・ローの記事ばかり探していたような気がする。


「い、いつです?」


「二ヶ月くらい前」


二ヶ月くらい前。それなら、見ていなかったかもしれない。
しかし、七武海とは驚いた。
マナは海賊じゃないけれど、海軍、七武海、四皇の三大勢力はマナも知っている。
一般に比べて調べているせいもあるだろう。








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