海☆長編サブリエ(ブック)

□無自覚
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「キャプテン!説明してよ!」


医務室。寝ているマナの横でペボがローに詰め寄った。
船に乗る時にはマナは発作をおこしていて、それでもペンギンによって処置されれば、ローが帰った頃には落ち着き今の状況になる。



「こいつは″使える″」


「あの…言っちゃあ何ですが、どこが?」


酷いが疑問に思って口を出したのはシャチである。
数日マナと行動を共にしただけの意見に、ペボとペンギンも実は興味がありローに視線を向けた。

我が船長は自由気ままで欲しいモノは容赦無く奪う。気に入らないものにも容赦ない…本人の意思とも関係なく。実に海賊らしい性格の持ち主だと言える。
そんなローがマナを″使える″と言った事に驚きだった。


「さっきの戦闘中、敵に発砲したのは誰だ」


質問に質問で返されシャチはますます首を傾けた。


「誰って…そりゃ…そういや」


周りで敵が何人か倒れてたな。正直結構助かった。
今更ながらに考える。
敵が倒れたということは発砲したのは味方だ。
でも、それはあり得ない事だった。

この船の中で唯一の銃を扱う人物といえば実はコックだけ。
そのコックは今の今でも厨房にいるはずで戦闘には参加していないのだから。
買い出しを頼まれていたシャチとペンギンは今それを理解した。


「…まさか、ですよね?」


ローがニヤリと笑う。
ペンギンは乾いた笑いを漏らした。
ただ一人…いや、一匹理解出来ずにキョロキョロ三人を見比べている。



「えー、どうゆうこと?」


「お前一番近くにいただろうが!」


理解したシャチに突っ込まれるもペボには痛くも痒くもない。


「撃ったのはこいつ」


顎でマナをさせば、まさか。
信じられないと二人と一匹は寝ているマナをジッと見た。


「あ、そういえばマナから火薬の匂いする」


気づく点はそこなのか。しかも、今なのか!シャチはガクッと項垂れる。


「銃なんて使えたんですね」


「前いた島で持たされていた。少しだけ使える。と言っていた」


「少し?船長の話からして少しじゃねぇだろ」


シャチの疑問はもっともで、ローがこの事を言っていなかったのはさほど重要とされていなかったから。
マナの口から、少し。と言われれば、あれほど使えるなど誰が想像しようか。
誰にもできないだろう。


「でも何でまたマナ発作が出ちゃったの?」

「音だろ」

「音?」


ペボの疑問には簡単にわペンギンが答えた。


「銃声なんて心臓にはよくない」



それを五発も撃てば心臓の負担にもなる。それに加え、撃つ衝撃も負担になるせい。


「じゃあキャプテン、マナどうするの?」


「使えるとわかりゃ、話は別だ」


「じゃあやっぱり」


ペボは目をキラキラさせて期待の眼差しを向け、ローは軽く頷いた。


「ああ、このまま乗っけて行く」


「「マジですか船長‼」」


あの船長が‼
あのローが女を船に乗せるなんて!
二人の心境は一緒だったらしい。



はじめからマナは他の女とは少し違った。
最初の興味は女一人で船に乗り込んだというところだった。
度胸だけはある。
それをしただけでもローは少しだけマナを気に入っていたのかもしれない。
口が裂けても本人には言わないが。



「ペンギン、先の航路は」


「特に問題はないはずです。次の島は三日で着くと聞きましたし」


「なら障害物がなければ潜らず進め」


「…了解です」


「ペボとシャチは一応船の中を確認しろ」


ロー自身、自室から本を数冊持って医務室へと戻りマナの寝ているベットの横でそれを広げた。







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