海☆長編サブリエ(ブック)
□無くした光、見つけたモノ
1ページ/3ページ
「お願いします…私を、助けてください」
大きくもなく届いた言葉に、驚きはしない。
あまりに予想通りの言葉にククッと笑が漏れたくらいだ。
「おれが、お前を助けて何のメリットがある?」
「……………それ、は」
…あるはずがない。
島からでた事もない。
戦闘もできない。
掃除洗濯もまともにできなければ…病持ちという厄介なモノしか残らない。
「おれが善意で人助けでもしそうに見えるか?」
マナは口が開けなかった。
はい、助けます。なんて都合のいい話になるはずがない。
しかも相手はこのローだ。
それはわかっていた。
でも、…どこかで期待をしている部分があったのは確かだ。
「とんだ無駄足だったな」
「……」
黙り込んでゆっくりとマナは下を向いた。
また泣くか。
そう思ったローが見たのは、小さく笑ったマナだった。
「何がおかしい」
「いえ…その通りだと思って」
「…」
「私、足手まとい以外何もならないなって」
そしてマナはローの目を見て笑って言うのだ。
「今の話、忘れて下さい」
➡