海☆長編サブリエ(ブック)
□邪魔された答え
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背中はふかふかなベット、目の前にはローの顔と天井。
風呂から出れば腕を引っ張られ、軽い力で投げられればマナは呆気なくベットへと沈んだ。
「…」
「…」
ただ、覆いかぶさってきたローは何をするわけでもなくその位置から動かない。彼にしてみればマナがどんな行動を取るかためしているだけなのだが、マナは意味が分からず固まるだけだ。
「……っ、クシュン」
何をされるか、なんて一瞬考えたが何もする気がないローに、何がしないんだろうと考えが変わった頃そんな体制はそのくしゃみで解放されることとなった。
「…髪を乾かせ」
乾かす間も与えてくれなかった張本人はさっさと体を起こし部屋の端で何かを探しているようだ。
マナは言われた通り髪を乾かした。
風呂に入ったからか、出てからとても寒く感じる。
「すみません、ご迷惑おかけしました」
ぺこりお辞儀をし、自分の荷物を全部持つ。
できれば早くこの部屋から立ち去りたい気分のマナは落ち着かなく部屋の中を見渡した。
すぐにローは何かを投げてよこすが、それはマナに当たって床に落ちる。自慢にならないけれど反射神経はよくない。
手にしてみれば投げられたものは上着だった。
「次の島は冬島らしい。海域がそこに入ったから寒いんだろ」
「そう、なんですか」
冬島。
マナは暮らした春島から出たことがない。
だから冬の寒さというのは未知だ。
借りた上着を着ながら部屋の窓を見れば、さっきまでの暖かな陽射しはどこへやら、どんより曇っている。
「もうやる事はない。食事を運ばせるからあの部屋から出るな」
「…わかりました」
彼が呼べばどこにいたのか、すぐにペボが現れマナは元いた部屋に戻る。
「マナ、寒くない?毛布もう一枚持ってこようか?」
「ううん、大丈夫」
「そう?」
「うん」
「じゃあ、すぐ持ってくるね!」
優しい白熊を見送り、さっきの部屋を思い出す。
「医学書ばかり。本当にあの人がトラファルガー・ローなんだ」
一面の本は多分全部医学書で、ソファーに座りながら広げていたのもそれだった。
手が無意識にしまってあった小瓶と紙を触る。
風呂から出て、そういえば服はどうしようと思えば、誰かの服が置いてあった。
長いシャツにズボン。
入る時には置いていなかった服に首を傾げれば、それはマナに用意された意外にありえない。
シャツはおしりまですっぽり隠れてしまうし、ズボンは大きく三回はおってはけばなんとか、かなり不格好だが仕方ない。
小瓶と紙はきていた服にしまった。
次の洗濯で一緒に洗わせてもらうことにしようと考える。
部屋へ戻れば何も言われないと言うことはやっぱりこれはマナに用意されたものだとホッとした。
…次の瞬間にはなんだか押し倒されたのは忘れよう。
「マナ、ごはんだよ」
「ありがとう」
いただきますと食べ始めてもペボは出て行く気配もなく目の前に座っていてる。
「次の島、冬島なんだって」
「そうだってね」
「…キャプテンに聞いた?」
「うん。寒かったんだけど上着貸してくれた」
確かに、この船のマークがついたものはローのモノ。
あのキャプテンが?そう思うも口には出さず、へぇとだけ返す。
結局マナが食べ終わっても暫く二人は他愛ない話をしていた。
「ペボ、仕事とかないの?」
今まさに監視という仕事をしているのだが、そんな事言えるはずもなく。
「うーん、…今はマナと一緒にいることが仕事だから大丈夫!」
考えに考えた末、軽くバラす発言をする白熊は、本能かマナがこの船に害を与える人物じゃないと思っていた。
「そうなんだ…あ、いけない、忘れてた」
ペボと喋りつい忘れてた毎日の日課。
マナは小瓶を取り出し一つ口に放り込む。
「それ、なに?」
聞かれるのは当然だ。するとマナは笑って答えるのだ。
「薬」だとー
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