海☆長編サブリエ(ブック)

□小瓶と紙
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ついたのはもちろん船長室。
広い部屋の一面の本棚には分厚い本がびっしりつめてある。
大きめのベットに、ソファー、端にはシンプルな机と椅子。

くるりと部屋を見渡した後、目に入ったのはソファーで足を投げ出して本を読んでいるこの部屋の主、ローだ。

本を読んでいるかと思えばふいに視線を向けられジロリと睨まれる。
マナは何故かシャチの後ろに隠れた。


「どうしたシャチ、えらく懐かれてるじゃねえか」


若干笑を含み言うローに、シャチは「そんなことない」と必死に首を横に振る。
なんせこの船長、目が笑っていないから逆に怖い。
それ以上何か言われる前に後ろに隠れたマナを前に出した。


「じゃあ俺は戻るんで!」


「………静かにできねぇのかアイツ」


慌てて大きな音を立てて部屋から出て行ったシャチをローは呆れた顔で見送った。
マナもドアを見て、視線を感じた方を向けばローはまたじぃっとマナを見ていて。

ソファーから立ち上がり目の前まで来てとまった。
右手がスッと上がると、反射でマナは強く目をつぶる。


「…おい、とりあえず風呂だ」

「え?」

ローの右手はマナの左側にあるドアへ。
状況が飲み込めないマナに舌打ちをする。


「そのままがいいなら、止めねぇ」

「お風呂って…あの、ここの…?」

「野郎共が入る共同風呂がいいのか、変わった趣味だな」

「……っ!おかりします!」


船の仕組みなどしらないけれど、ここは海賊船。そもそも女がいないこの船に女専用の何かがあるはずもない。

マナは理解したのか慌てて左のドアを開けて入り込んだ。









なんとも慌ただしい女だ。
風呂からでたら聞きたいことは山ほどある。
ローはさっき飛び出して行った男を一度呼び戻し用事を済ませ、ソファーに戻った時、ドアの近くに何か落ちているのに気がついた。

持ってみれば小さな瓶。
中にはよく見知った白いもの…薬。
けれど、これはこの船のものではない。
言い切れるのは医務室意外に、この部屋でも薬瓶が転がっているはずがないからだ。
考えればそれが誰のかは明白だ。


「アイツのか。…毒か?」


もしかしたら毒薬かもしれない。

考えればすぐに動き、マナに入らせたドアを開ければ、少しのスペースに脱ぎ捨てられた服がある。

罪悪感など微塵もない表情で服のポケットを探ればすぐにカサッと音を立ててそれはでてきた。
確認すれば紙を元に戻し、ご丁寧に拾った瓶までおいてやる。

ソファーに座り、右手で顔を覆えば、クククッと笑が止まらない。
理由はわからないが、狙いは分かった。



「おもしれぇモノ持ってやがる」




もう暫く観察するとしよう。




邪魔された答え
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