龍NOVEL

□神宮京平の聖誕祭
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「みんな楽しそうで良かったですね! あのお二方も見た目よりイイ人でしたし」
イイ人ほど怒ると怖いのは世の常だ。
まだまだ甘いな…うちの秘書も。

はぁ…この包み、どうして良い物やら。
とりあえずは机の引き出しにも放り込んでおけばよいか。

しかし、どうにも気になる。
恥ずかしいほどの内容のカードとはいったい…

思わず包みを開いてしまうではないか。
ご丁寧な事にカードは封筒に入れられている。

――いつもはプレゼントだけですが、今年はじめてサンタクロースとトナカイがヒマワリにやってくると聞いて、みんな楽しみでした。
学校のお友だちはサンタなんていないと言うけど…
きっとサンタさんは心の中にいると思います。
今日ヒマワリに来てくれたサンタさんとトナカイさんの心の中には誰よりもすてきなサンタさんが住んでいると私は思います。
だからヒマワリに遊びにきてくれたんですよね?
ふだんのお仕事もいそがしいと思いますが、またヒマワリに遊びに来て下さい。
今日は私たちのために本当にありがとうございます。
すてきなクリスマスを!
ヒマワリ園児代表・澤村遥――

遥はまさか俺が父親だとは分かってはいないだろう。
だが今日一日ぐらい、影ながらも父親として相応しい綺麗な人間で過ごすのも悪くはないかもしれない。

ツリーのストラップを指先で摘んだ。
見るからに安物と分かる代物。

バックミラー越しに秘書と目が合った。
な、なんだ!? 薄気味悪いにやけた笑顔で後部座席に腕を伸ばして。
「はい。先生の携帯。僕が預かってましたからね、どうぞ」

仕事は出来ないくせに…こういう事には勘がが働くような奴は首にしてやる!
いや…クリスマスだから今日は勘弁してやろうか…
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