運命の扉

□第1話
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「“見た”からだよ。君の事とか此処でこれから起こる事とかね」
そう呟くように言う。
「見た?どうやって?」
透夜が聞く。
「う〜ん何て言えばいいか分かんないけど・・・自然に“見える”んだよね頭の中。私が望む事もそうじゃ無い事も・・・。」
そう困ったように笑って言う。
「どうしたらそんな事ができるの?」
透夜が聞く。
「透夜には無理だよ。これは生まれもった力だから欲しいって望んで手に入るものじゃないし、必要ないって思っても無くなる物でもない・・・たぶん死ぬまでなくならないっと思う」
「・・・・・・」
「そうだ!切符見せてよ。探すの手伝ってげる。透夜の運命買った人」
時雨が楽しそうに言う。
「時雨さんはその人が誰か分かるんですか?」
透夜が時雨に聞く。
「分かってるつもり。探すのは大変だけど・・・」
時雨が言う。
「さっきから聞こうと思ってたんですけどもしタイムリミットまでにその人が見つからなかったら僕はどうなるんですか?帰れるとか・・・?」
「残念だけど帰れないんだよね。もう記憶が消された後。透夜が此処に来た時点で透夜を知ってるから透夜の記憶は消されてるから」
「じゃあ僕は・・・」
「運命を買われた者が買った者に会えなかった場合、一番初めに話した者がかわりにその者を引き取るの。コレは昔からのルール。透夜の場合は私ね」
「どっちにしろ僕は元の所には戻れないんだ・・・」
透夜が沈んで言う。
「ねぇ透夜。元には戻れないかもしれないけど“選ぶ”事は出来るんだよ」
そう時雨が静かに言う。
「選ぶ?何も無い僕に貴方は何を選べと・・・」
透夜が今にも叫び出しそうな声で言う。
「これからだよ。透夜の前には今“2つの未来への選択肢”がある」
そう微笑んで言う。
「2つ?」
「『運命を買った人を探す』か『私と一緒に来るか』。透夜はどうしたい?」
透夜を見つめて時雨が聞く。
「・・・くない」
「え?」
「忘れたくない」
透夜の言葉に時雨が不敵に微笑んだ。
「なら私と一緒に来る?透夜が住んでた世界での事忘れずに居られるよ」
「でも僕の運命かった人が探しに来るかも・・・」
「向こうも会うまで“誰か”わからないよ」
「どういう事ですか?」
時雨の言葉に透夜が不思議そうに聞く。
「その者の魂を買うことだから・・・。前世の面影を求めて運命を買う者がほとんど。だから会わないとわからないって事」
そう透夜に説明する。
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