子猫達の彷徨い歌

□第1話
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少女が目を覚ましたのは丁度雨が止み日が出始めた昼頃。
まだ眠そうな桃色の瞳が表通りを歩く人たちを見つめていた。
「早く探さなきゃ・・・」
少女が呟く。


「ショウ・・・翔冴(しょうご)!起きな」
少女が翔冴と呼んだ仔猫を起こす。
「・・・おはよ」
翔冴が眠そうな声で言う。
「・・・歌恋、此処、何処?」
翔冴が少し戸惑った様子で、歌恋と呼んだ少女に聞く。
「えっと・・・人間界」
歌恋も何と答えて良いか分からないといった様子で答える。
「それは見れば分かる」
翔冴が冷たく言う。
「夢沢・・・」
「え?」
「此処の地名。多分、夢沢で合ってると思う」
近くの電信柱にかかるプレートの文字を読んで歌恋が言う。
「歌恋。探すんでしょ?天家(エンジェル)」
「そうだよ。私達、魔猫族(ミーアキャット)を匿ってくれる天家の家がこの辺に在るはずだから・・・」
そう微笑む。
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