三部作番外編

□Raison d'etre
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その部屋には主である少年しか居なかった。
名前はスノウ・アッシュ。
紅い髪とエメラルドグリーンの瞳を持ち、肌は病的に白い。
スノウはベットの上に座り虚ろな表情で窓の外を眺めていた。
『死にたい』
それがスノウが幼い頃からの抱くたった一つの望み。
人前で明るく振舞っていても考える事はそればかりだ。
こんな躯じゃなかったらきっとこんな思いなんてしていない。
外を眺めながらスノウはそんな事を考えていた。
コホッ、コホッと苦しそうに咳き込むと息が荒くなる。
ベット脇の机の引き出しに手を伸ばし手探りで薬の入った小瓶を探し出すと蓋を開け薬を数錠取り出して水で躯に流し込む。
別に薬なんて飲む必要は無い。
でもそれを飲むのは苦しさを紛らわせる為。
先天的だったのか後天的なのか忘れた。
でも物心つく前からスノウの躯は病に侵せれいた。
普通、人間なら10年以内、他の種族なら50年以内に死ぬ。
そんな病気だ。
そしてそれは未だに不治の病である。
つまり決して治らないのである。
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