三部作番外編

□此処で会えたこと
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「もしも、だよ」
幼い少女の声がその空間に響き渡る。
「もしも未来や過去が見れなくなっとしたら虚夢はどうする?」
そう聞いたのは声の通りまだ幼い少女。
彼女は鮮やかな長い銀髪と大きな澄んだ金の瞳をしていた。
「分からない。でも今とは変わってしまう気がする」
虚夢と呼ばれた青年が少女の問いにそう答える。
彼は少女とは真逆に金色の髪に銀色の瞳をしていた。
「変わるの?何が?」
青年の答えに少女が不思議そうに聞く。
「何がどう変わるのか分からないけど、何かが変わると思う」
「……」
虚夢の言葉を少女は無言のまま聞いていた。
「時雨はどう思ってる?」
今度は虚夢が少女―時雨に聞く。
「分かんない。でも私は何にもしない・・・ううんできないと思う。
でもね、見えなくなっちゃったらきっと不安になる」
そして時雨はこう続ける。
「だって今まで当たり前に見えてたものがみえなくなっちゃうんだよ?」
そう言って時雨は俯いた。
「時雨・・・」
「ごめんね。自分で言い出した事なのに・・・」
虚夢の表情を見たからかそう笑って時雨が言う。
「でもさぁ、此処って不思議だよね。初めてきた時から思ったけど・・・」
時雨はそう言って上を見上げる。
時雨の視線の先にあるものそれは雪の結晶。
正しくはそれではないのだがそう見える。
「僕も初めて此処に来たときに思った・・・」
虚夢も時雨に同意する。
「私、力無くしちゃうのはやっぱり嫌。だってそうしたら虚夢に会えなくなっちゃう」
さっきとは違って笑って時雨が言った。
時雨の言葉に虚夢が驚いたように時雨を見る。
「だって私たちは同じ時軸生きてないから。此処だから会えた・・・。此処にこれなくなるのは・・・虚夢に会えなくなるのは嫌だもん」
「・・・時雨」
「そろそろ、戻るね。刹那探してるだろうから。じゃあまたね」
そう時雨の声が響いた。
その次の瞬間時雨の姿消えいた。



「此処は現実あって現実じゃ無い世界」
「夢であって夢では無い世界」
『ちょうど此処はその狭間の世界』

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