オマケ

□あなたとの不毛な関係5題
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※全て銀時視点


●1.本気じゃないと知っていた

何故かズルズルと体の関係だけが続いている。

最初は酒の勢いだった。
陳腐でベタな話だ。
取っ掛かりがそんなもんだったのだ。


(お前との関係に、だから愛なんて微塵もないよ)


‥‥‥‥‥
↑大人は、悲しいかな成分の八割が強がりで出来ている


●2.たったひとつの約束もない

次いつ来るよ?

言い掛けて、止めた。
俺達に約束なんてものは必要ないのだ。

(期待をしてしまったら後戻りできなくなるだろう?)


‥‥‥‥‥
↑傷付くのを恐れないのは若さ故の特権


●3.甘い刹那をもう一度だけ

近藤は意識を放つ瞬間に、いつも俺の名を呼ぶ。
万事屋、ではなく、銀時、と。
その響きにやけにゾクリとさせられて、俺はついつい駆り立てられる。

何に駆り立てられるかって?
それが分からないから、今日もこうして近藤を揺さぶりながら、アイツが俺を呼ぶ一瞬を待っているのだ。


‥‥‥‥‥
↑体を貪る理由なんて、案外簡単なものだったりする


●4.この温もりさえ嘘なんだ

「あれ?お前どうしたんだ?その傷、首んとこの」
「あ?あぁコレ。猫猫。昼間に依頼で迷い猫探しをしたんだけどよ。見つけたはいいものの、とんだ暴れ猫。ガリッとやられちまったわけよ」
「うわ〜痛そう…。結構傷深いけど、消毒は?」
「んなもん舐めときゃ治る。…っつっても自分じゃ舐められねぇけ…ど……」


首筋を舌が這う感覚に。
神経が麻痺したかと思った。

恐らくあの温かさは。
毒なのだ。


‥‥‥‥‥
↑吐息にすら毒は混入されているのだ


●5.それでも愛していたかった

「もうここには来ねぇよ」
「そうか。分かった」
「理由聞かねぇの?」
「オイオイ近藤。俺たちゃそんな仲じゃねぇだろ?単なる暇潰しだったんだ。お前が来る理由も去る理由も俺は興味ねぇよ」
「そうか。まぁそうだな」


理由なんぞ、聞かなくたって分かりきっている。
近藤と妙の婚約を嘆く新八の今朝の姿が、やけにクリアにフラッシュバックした。


「あれ、降り始めちまったな…。しょうがねぇ走っていくか」


じゃあな、万事屋。と引き戸をガラリと開けた近藤は、チラリともこちらを見ずに走っていってしまった。
脇に立て掛かる傘を借りていかなかったのは、本当に此処へはもう来るつもりはないという近藤の意思の表れなのだろう。


(たとえお前の気持ちが俺に向いてなくとも)


「俺は、本気だったよ」


小さく呟いた言葉は、トタンを打つ安っぽい雨音に掻き消された。


‥‥‥‥‥
↑近藤さん…どんだけ小悪魔なのですか



◎Thanks◎
お題配布元サイト 確かに恋だった 様


      

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