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□とある、色欲沸点。
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●とある、色欲沸点。
見上げる喉仏のラインがやけに艶っぽくて、沖田は思わずなぞり舐めたい衝動に駆られた。
「あの…何か?」
下からジッと己を見つめる粘ついた視線に、近藤は或いは暫く前から気が付いていたのかも知れない。
低く響く声色に、疑問の言葉がおずおずと乗った。
「おっと、いけねェ」
「は?」
「いえ、別に」
沖田はニヤリと片口端だけをあげると、近藤の膝に預けていた自分の頭を持ち上げ、身体を起こした。
今日の縁側の日向のぬくさは、なんとも程が良い。
サボり癖の有無は別にして、うつらとしても仕様がなかった。
そんな陽気に、お気に入りの枕で一休憩する事がサボりと叱咤されるのであれば、沖田は憤ってしまうかも知れない。
が、そのお気に入りから頭を離したのは。
『何か?』
疑問が近藤の喉仏を支配して、上下させた。
その遊動、なんと色艶。
喉仏の上下があまりにも色を含んでいたものだから、沖田は思わずなぞり舐めてかぶりつきたい衝動に駆られて、些か困った。
(流石にそれをやっちゃあねェ…)
「総悟?」
上下する喉仏。
沖田は見て思う。
(嗚呼、大変)
『総悟?』
その響き、なんと恍惚。
自分の名が近藤の喉仏を支配して、上下させる。
自らが近藤を侵食したような凌辱したような、何とも言えない満足感に陥り、その喉仏を沖田は思わずなぞり舐めてかぶりついて喰い千切りたい衝動に駆られて。
とても、困った。
End.
2010.11.13