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□切々と、舞う
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●切々と、舞う
土方は、ただ一言欲しかったのだ。
ただ一言、目の前の男から拒絶の言葉が欲しかっただけなのだ。
けれどその目の前の男は、見た目の厳つさに似合わず心根の優しい人間で、なかなか拒絶の色を口から漏らしてはくれなかった。
二人の頭上には八分程の染井吉野が開いている。
四季の中で一等の美を誇れる桜頃合いだというのに、けれどこの日は朝から随分と変わった空模様だった。
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