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□【†Stomachache†】
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「牧瀬?…今どこにいんだ。…おう。
お前さ、今から薬局行けるか?
……いや、たいしたことねぇんだが
腹痛くて動け無ぇから何か薬買ってきてもらいてぇんだけど…」

会話に聞き耳を立てていた伊崎の表情が
どんどん険悪になっていく。

「マジか、頼む。ん、じゃ待ってっから。
は?ああ、いいぜ。礼はする。」

礼って何だ!!

内心怒鳴ってそう問い詰めたい伊崎の
食いしばった歯がぎしりと音を立てる。

上機嫌で電話を切った戸梶の横顔を苛々と見ながら呼ぶ。

「おい。」

「あ?」

「ちょっと来い」

「……」

怪訝な顔をしながらも、戸梶は言われた通りに側へ行く。

何かと思えば。

「ここに横になれよ」

「は…?」

言って指をさされたのは伊崎の膝の上。

呆然としていると腕を引っ張られる。

「おら、寝ろ。」

「なっなに」

無理矢理仰向けに寝かされ、
何かと思えば腹の上に手を置かれた。

思わずビクッと戸梶の体が跳ねて緊張する。

伊崎はその緊張をとるように優しい声で囁き。

「撫でててやるよ」

「……っ」

そして、言葉通りに戸梶が痛いと言っていた腹部を
丁寧に撫でていく。

戸梶の顔は可哀相な程真っ赤だった。

暫く沈黙のままその状態が続いていたが、
ピンポン…とインターホンが鳴る。

「…あ、薬…」

起き上がろうとした戸梶の肩を伊崎は優しく止めた。

「痛ぇんだろ?俺が出てやるよ。」

首を傾げながらも、戸梶は浮かせた腰を元の位置へ戻す。

代わりに伊崎が立ち上がって玄関へ向かい、
その扉を常識の範囲外の勢いで開いた。

案の定、ガァンッ!!と音がして、
額を押さえふらついている牧瀬が現れる。

伊崎は彼を射殺しそうな程睨んだ後に、
その手から薬局の袋を奪い取ると。



「二度と俺の女に近付くんじゃねぇ。殺すぞッ」



そんな一言を強めに吐き捨てて
開けた時の勢いと同じ勢いで扉を閉めた。

ソファーに戻ると戸梶が身を起こし。

「凄ぇ音したけど、牧瀬は。」

「帰った。」

「は?」

何だあいつキスしてやるって言ってたのに…

思わずそう呟いてしまった彼の唇は
伊崎のそれに噛み付かれるように塞がれてしまった。
















【†END†】
あとがき
たぶん袋を開けたらセデスとかが出てきて、
「んで生理の薬なんだよッ!クソしか出ねぇっつってんだろッ!」
あの役立たず!とキレる勇次。
何かもう牧瀬が可哀相過ぎて申し訳無い!!##APPLAUSE##20071214.

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