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画面の中の戸梶は望む物を与えられず不満げな顔をする。

彼は身を起こすと拗ねたように呟く。



『…瞬くんの…バカ………いじわるっ』



そこへ。



「何してんだ、お前ら。」



「「「……っ!!」」」



背後から声がかかって三人の肩は大袈裟な程跳ねた。

戸梶は首を傾げ、三人の肩越しにテレビ画面を覗き込む。

「何見て……」



『アぁッ…!瞬くんっ瞬くんっ…おっきぃ……ひゃんっ』



彼の目に映ったのは後孔に男の欲望をくわえ込んで
嬌声をあげる己の狂態。

「なっ…!!!」

戸梶は目を見開いて固まった。

時生と筒本は慌てて己の体でテレビ画面を隠す。

「い…いや、戸梶!大丈夫だから!消せ、筒本!」

「そそそうっすよ!俺ら何も見てませんから!ねっ、先輩!」

同意を求められた多摩雄は我関せずで
まだ画面を凝視している。

「これっていつ撮ったやつ?正月?」

「「多摩雄(先輩)ッ!!」」

時生と筒本が窘めるが多摩雄は気にも止めない。

質問の答えを求めるように振り返り戸梶の顔を見た。

「………ッ」

目が合った途端、戸梶の頬は羞恥で真っ赤に染まる。

瞳が潤み、唇を噛み締めた表情を見て、多摩雄は一言。

「…やべ。勃ちそ。」

「「先輩(多摩雄)ッ!!」」

気を使わない彼をまたも窘める二人。

「わ…忘れ……」

「勇次…」

戸梶がなんとか口を開いた所に
その背後からいきなり現れた伊崎が彼を抱きしめて、
言葉を遮った。

「げっ……」

嫌そうな声をあげる戸梶に気付いていないのか
伊崎は恋人の首筋に舌を這わせながら告げる。

「勇次ー愛し……」

「今帰ってくんじゃねえ!空気読めッ!」

カッ…と余りの羞恥に頭に血がのぼった戸梶は
伊崎の囁きを遮って抱き着いてきていた体を蹴り飛ばす。

「い、いや、戸梶…」

「俺等が帰りますから!」

時生と筒本は戸梶を宥めるが、
多摩雄を一人はあくまでもマイペースに立ち上がり、
トイレに向かおうとする。

「戸梶、便所借りるわ。」

「「多摩雄(先輩)ッ!!」」

二人は多摩雄の腕を両側から掴んで止め、
戸梶は赤い顔のまま三人を睨む。

「……煩え、お前らはここにいろ。
じっくり話合いてぇ事がある。」

そこへ、起き上がった伊崎が頬に手を伸ばしてきた。

「勇次、こっち向け。」

「寝てろ馬鹿野郎ッ!!」

戸梶は泣きそうになりながら、
酔っ払った伊崎の腕を掴むと寝室に押し込み、
外から鍵を閉める。

肩で息をしている戸梶に向かって
多摩雄は相変わらずマイペースに口を開く。

「戸梶、ヌくの手伝……」

「「先輩(多摩雄)ッ!!」」

二人は多摩雄の言葉を遮り、両側から窘める。

そして戸梶はとりあえず三人を食卓に座らせはしたが、
沈黙は朝方まで続いた。
















【†END†】
あとがき
何か最近芹→戸色が強くなってしまいます……ナニユエに?##APPLAUSE##20080110.

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