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□【†KISS GAME†】
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【†KISS GAME†】















や〜きゅうーす〜るなら〜

あうと!せーふ!

というギャラリーの大合唱の後、
中央の二人が掛け声と共に拳を繰り出す。

「「よよいのよいっ」」

よい、よい、と何回かグーチョキパーが続いたが、
結局勝利の雄叫びをあげたのは多摩雄だった。

「しゃぁあッ!!」

「チッ」

不機嫌そうに舌打ちして煙草を投げ捨てた戸梶へ
筒本は笑顔でボックスを差し出す。

「はーい、戸梶さんくじ引きターイム。」

「………これ、誰入ってんだ。」

腕が一本入るサイズで開けられた穴を訝しげに見詰める。

筒本は箱を振って彼を急かす。

「大丈夫っす。旦那はあっちに縛ってあるんで。」

あっちと言って彼はよくわからない方向を指差して言う。

「旦那って言うんじゃねえ。
つか、野球拳の罰ゲームが何でランダムキスなんだ。
誰だ考えた奴。」

「あ、俺ぇー。」

「お前かよ。」

軽い調子でヘラヘラと挙手した時生に戸梶はまた舌打ちした。

「だって、野郎の裸見たって楽しくねぇもーん。」

「キスの方がつまんねぇだろ。」

追究する姿勢の戸梶だったが、
筒本はさっさとそれを遮る。

「はいはい、時間稼ぎしても罰ゲームなくなりませんよー」

「さっさと引けコラァ!」

「潔くせえや!」

「………チッ。寄越せ。」

三上兄弟にも急かされ、
戸梶は仕方なくボックスに手を入れた。

「はい!誰が出るかな誰が出るかなタラタタンタン…」

不愉快なBGMに後輩を睨みつけながら紙を開き、
書いてある番号を読み上げる。

「七番。」

「七番誰だコラァッ!!」

「はよ出てこいや!ああ!?」

すぐに三上兄弟がギャラリーから相手を探し、
手を挙げたのは牧瀬だった。

「お!俺だ。」

「何でてめぇがいんだ。」

てめえ、うちの身内じゃねえだろ。

と、怪訝な顔をした戸梶に牧瀬はきょとんとする。

「は?いや、呼ばれたから。」

「はい!じゃあ次はどこにキスするか決めてくださーい。」

「どこって何だ。」

違うボックスを差し出してきた筒本に戸梶は眉を寄せた。

「あんだろぉが!ほっぺとか鼻先とかよォ!」

「鎖骨とかあそこやらあそこやらな!」

またも三上兄弟に急かされてボックスから
くじを取り出して広げる。

「………」

無言になった彼の手元を覗き込む筒本。

「どこでした?」

「唇。」



















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