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□【†Cer-tainly,madam†】
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【†Cer-tainly,madam†】
















マンションに近付くとその前に
三、四人の主婦の集団を見つけた。

さらにその中に見知った男を見つけた伊崎は怪訝な顔をする。

近付くにつれて会話の内容が聞こえてくるのだが、
大体がうちの旦那がね〜からはじまっていた。

まざっている彼の口から。

「ああ、あれ面倒臭ぇよな。」

と、いう相槌が聞こえたところで漸く声をかける。

「……戸梶、てめぇ何してんだ。」

「おお、調度いい時に帰ってきやがった。」

振り返った戸梶はくわえていた煙草では無く
チュッパチャップスを口から出して告げた。

「なぁ、お前今日の夕飯何がいい?」

「ああ?……何でもいい。」

怪訝な顔をしながらもそう答えた伊崎に、
尋ねた本人どころか周囲の主婦達までくすくすと笑い出す。

「……何だよ。」

「今、調度今日の夕飯の話してたんだよ。」

やっぱりどこの家でもそうなのね〜
と主婦達が頷き合い。

「旦那に夕飯何がい?って聞くと、
絶対ぇ何でもいいって言うけど
それが一番面倒臭ぇんだよ、ふざけんなっつー話。」

「……お前のしてる旦那の話って俺の事かよ。」

呆れを含んだ溜め息を吐いた後で不意に気付く。

というか、何でこの主婦達はそれを
当然のように聞いているのだろうか。

怪訝な顔をしている伊崎を無視して
戸梶は彼女らに向かって片手をあげると
さっさと横を通り過ぎようとする。

何事か、と思わず腕を掴んで止めた。

「…どこ行くんだ。」

「夕飯の買い出し。」

制服じゃ無ぇの見てわかんねぇのか、
と不機嫌な顔で返され腕を離す。

「ついてってやるよ。」

「ああ?」

伊崎の言葉に怪訝な顔をした戸梶に向かって、
先程の主婦達から。

いいわね、勇次くん。うちの人なんてそんな事
言ってくれたことないわよ。

と、そんな一言。

自分の旦那を思い出して憤慨してる様子の彼女に
苦笑して歩き出した戸梶の後を追って横に並ぶと、
彼の得意げな横顔が目に入った。

飴に舌を這わせる彼を見て、
あの主婦達との関係を聞くよりも先にそれを尋ねる。

「……それ、どうしたんだ。」

「ババァ共にもらった。」

飴を噛んであっさりと答えた彼に
伊崎はどう反応したものかと曖昧な表情で黙った。















【†END†】
あとがき
近所のおばさんはなるべく敵に回さないようにしてる勇次(笑)
そして理解のありすぎる奥様方。
タイトルは完全に間違えました!##APPLAUSE##20071217.


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