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□【†Shutter Chance†】
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【†Shutter Chance†】














「こっち向けよ。」

「んー…?」

横を向いて寝ている肩を掴まれ、仰向けに転がされる。

パシャ。

眉を寄せるのと同時にシャッター音が響く。

「あぁ?」

怪訝な顔をしている彼を無視して、

パシャ。

と二度目のシャッター音。

漸く戸梶はその正体を瞳に映して首を傾げた。

自分に向けられた携帯電話。

「何?」

「見りゃわかんだろ、写メ。」

あっさりと答えが返って眉を寄せる。

「何で。」

「待受にすっから。」

「……」

パシャ。

返答に眉間の皺が深くなったが
お構い無しでシャッターが切られた。

「何枚撮んだよ…」

「気に入んのが撮れるまでだろ。」

溜め息を吐きながら尋ねたのに、平然と返される。

携帯を退けようと伸ばした右手は
伊崎の左手でベッドに縫い付けられてしまう。

むっとしながら少し考えた戸梶は
空いている左手をベッドベッドの棚の上にある
己の携帯に伸ばした。

それを開いて伊崎に向けると。

「……俺にも撮らせろ。」

「何でだ。」

怪訝な顔で尋ねてきた伊崎に戸梶は
恥ずかしそうに頬を赤く染めて顔を逸らす。

「……普通、この状況で聞くか。」

拗ねたように言ってちらりと視線を送ってくる恋人に、
笑うと伊崎は彼の体を包んでいた布団を剥ぎ取る。

露になった寝間着姿の彼の胸元に手を這わせ、
形をなぞりながら囁く。

「なぁ、脱げよ。」

一瞬、きょとんとした後で戸梶は笑みを浮かべると
彼の耳に手を伸ばした。

「…変態。」

軽く引っ張ってわざと艶のある声で耳元に囁く。

その手を笑いながら払って、
伊崎は戸梶の上から退いてやる。

漸く自由になった彼は起き上がると
シャツの釦に手を伸ばした。

しかしその手はすぐに止められる。

「シャツは脱がなくていい。」

「ベタだな。じゃあお前はコレつけろ。」

「ああ?」

少し考えた彼はズボンに手を伸ばす前に
ベッドヘッドの棚を一つ開けて、
花飾りのついたヘアピンを取り出す。

嫌そうな顔には構わず、
今は下ろして軽く額に掛かっている髪を摘むと
優しく撫でつけてやりながらピンを使って横にとめる。

細いそれを何個かつけてやって手を離すと正面から見つめて、
笑いながら伊崎の体をベッドに押し倒す。

「……凄ぇ可愛い。」

「おい、乗っかんな。」

そう言いながらも伊崎の手は
戸梶の腰を抱いているだけで動かそうとはしない。

戸梶は伊崎の表情を見詰めながら、ズボンを脱いでいく。

中途半端に片膝に引っ掻けたまま、
シャツの釦を半分外して尋ねる。

「なぁ、下着どれがいい。」

伊崎は己の上に乗る恋人の腰から太腿までを撫でて考え、
視線を逸らしながら。

「………紐の奴。シャツは白。」

「白なんかあったか?」

怪訝な顔をした彼に。

「制服あんだろ。」

と、告げる。

戸梶は立ち上がるとクローゼットの方まで歩いて行き、
開けながら奥の方を探す。

「あー…どこやったっけな。」

奥まで頭を突っ込んでいるので
臀部を突き出した格好になっているのだが、
彼は気付いていないのだろう。

「確かここに…」

取り出したそれに折目がついているのを見て眉を寄せながら、
今着ていたものを脱いで袖を通す。

すると、背後から。

パシャ。

と、音が聞こえて戸梶は嫌そうに振り返る。

「…どこ撮ってんだ。」

パシャ。

もう一度シャッター音があった後に一言。

「あー…生着替え。」

「止めろ。」

パシャ。

思わず拒絶の声をあげて手を伸ばすが、
逆にその手を掴まれて引き倒される。

「やだっ…」

ベッドのシーツに顔をぶつけた戸梶の上に跨がりながら
シャッターを切る。

振り返りざま恥ずかしそうに眉を寄せた顔をおさめた伊崎から
携帯を奪おうと暴れた戸梶のせいで
ベッドのスプリングは大きく揺れた。

「やだっ瞬くん……っ」

パシャ。

唇を噛んでそっぽを向いてしまった恋人に
伊崎は漸く携帯を手放すと、
あいた手で彼の携帯を取って開く。

訝しげな戸梶の頭を抱きしめて、
彼が驚いて固まっているうちに
伊崎は自分に向けてシャッターを切った。















【†END†】
あとがき
恥ずかしバカップル!!(笑)
ていうか、完全に変態だな、私……
すみません誰かー!絆創膏下さいー!頭に貼る分のー!!##APPLAUSE##20071216.


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