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□【†J'ai envie de toi†】
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【†J'ai envie de toi†】













麻雀で負けた戸梶は、
筒本を荷物持ちに付き添わせ、
勝った芹沢の昼飯を買い出しに行く途中だった。

歩いて行く廊下の先に見知った男を見つけて
一瞬足が止まりそうになる。

愛煙で肺を満たして気分を落ち着けるが、
愛煙と共に吐き出した息には本人の気付かないところで、
少し熱が篭っていた。

擦れ違い様、不意に表情を窺うように
戸梶はちらりと伊崎の顔を見遣り。

その瞬間に互いの視線が交わって心臓が跳ねる。

伊崎も同じように目を見開き、
通り過ぎようとした彼の腕を思わず掴んでいた。

立ち止まった二人に筒本が怪訝な顔をする。

「戸梶さん?」

どうしたんですか、と聞く前に。

「悪ィ」

と、呟くような謝罪があり、
彼は伊崎に引きずられるようにして走り出す。

「は?あっ…ちょっと!買い出しは!?」

筒本の制止に答える声は無い。











【†J'ai envie de toi†】












駆け込んだのは近場の男子トイレ。

二階の東側。

二年の教室が並ぶそこ。

一つの個室に二人でなだれ込む。

「便所かよっ」

走って上がった息の合間に不満を漏らすが、
伊崎の手は既に戸梶のベルトを外しにかかっている。

蓋を下ろした便器に押さえ付けられ、
汚ぇ…と彼は文句を言うが。

「待てねぇよ。」

嫌なら中には入れねぇから。

と伊崎はさっさと戸梶のものに手を這わせた。

「ぁ…手……?」

不満そうな戸梶に伊崎は眉を寄せる。



「俺に、ここに跪けってのか。」



「………おねがい……瞬くん、舐めて…っ」



「………」



欲情にのまれた瞳と声で強請られ、
伊崎は舌打ちをしつつもその場に膝をついた。

自分の足元に跪く彼の姿を見ただけでも
腹の下から沸き上がる優越感が快楽になる。

「は、ぁ…ん……」

熱い息を吐きながら、彼がしやすいように足を開く。

伊崎の髪を撫で、自らそこへ誘う。

彼の口が開いて既に濡れている戸梶のそれへ舌が這わされる。

「んっっ……」

ビクッと体が震えた。

伊崎は丁寧にそこへ舌で愛撫を施す。

「ぁ…ん、……は、っきもちぃ…」

言葉と共にすぐに膨れ上がる彼の欲望に
伊崎は笑みを浮かべる。

「声出すな。全部外に聞こえるぞ。」

抱き着くように腕を伸ばし、
戸梶は前屈みになりながら彼の頭を胸に抱え込んだ。

彼が、言われた通り必死に抑えようとする声は
すべて伊崎の耳元で吐かれ、興奮を煽る。

伊崎は再び彼の肉棒を口に含む。

「ぁっ…は、っ……ぃじわる…言わないでっ……
瞬くんに、されてたら…出ちゃぅ…ん、…ゃっ」

抑え切れない甘い声で鳴きながら、
彼は伊崎の首筋に舌を這わせる。

ビクッと伊崎の肩が跳ねた。

思いの他強く反応してしまったことに羞恥を感じた彼は、
仕返しのように口の中のそれに軽く歯をたて強く吸う。

「やぁあっんッ…っ」

「っ……はぁ」

強く鳴いて吐き出された彼の欲情は
伊崎の喉を流れて食われる。

開放感に荒い息を吐いて呆としている戸梶をそのままに、
伊崎は立ち上がると、
扉に背を預け、
自分のものを取り出して手で扱き出す。

「っ……、…」

「ゃっ…やだっ」

彼の自慰を見た戸梶は慌てて止めに入る。

彼の手に自分の手を重ね、縋り付くように。

「まって、イかないでっ…中にイれて、出して…」

思わず喉が鳴った。

手の中の自分のものが少し質量を増してしまい、舌打ちする。

「ここでしたく無ぇんじゃねぇのか。」

はじめの文句を責めるように言われ、
戸梶は切なげに眉を寄せた。



「……どこだっていいっ。瞬くんに抱いてもらえるなら
どこだっていい……っ」
















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