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□【†Gattina mia†】
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【†Gattina mia†】













朝起きたら頭に猫耳がついているというのは

一体どういう状況なのだろうか…

と怪訝な顔をしながらも、
戸梶はとりあえずサイドテーブルの煙草に手を伸ばし、
一服つく事に決めた。

愛煙を、深く吸い込み、吐き出してから、
隣で寝ている男を見遣り。

いやまあ、当然こいつの仕業なのだろうが…

ならば、原因を起こして
直接状況説明をしてもらおうと思った彼は、
伊崎の肩を揺すって起こそうとする。

「伊崎…てめぇ、起きろ。」

「……」

枕を抱いて俯せに寝ている彼は動かない。

「起きろっつってんだろ。」

「……」

反応は全くといっていい程返らない。

「…………」

「……」

スッと目を細めた戸梶は揺すっていた手を止め、
耳元に唇を近付けて、
寝起きのかすれて低い声で甘く囁く。



「ねぇ、瞬くん。朝ぁー、起きてぇ?」



「……」

すぐに寝返りをうって手を伸ばしてきた男の
望むままに唇を重ね、離した直後に睨みつける。

「…てめぇ、最初から起きてやがったろ。」

「煩ぇな、何だよ。」

眠気を欝陶しそうにしながらも伊崎は身を起こした。

彼に向かって戸梶は自分の頭を指差して見せる。

「何だ。これ。」

「猫耳。」

あっさりと答えた彼に。

そんなことは…

「聞いてねぇよ。何で俺の頭にあんだ。」

問われた伊崎は戸梶の煙草を奪って口をつけ。

「この前、俺が犬になって遊んでやったろうが。お前もやれ。」

「何ふざけた事言ってんだ。」

苛々と煙草を取り返す為に伸ばされた手を掴み、
膝の上に引き倒すと、
彼は、倒れ込んだ戸梶の唇を
己のそれで塞いで煙を吐き移した。

唇を離して口を開く。

「つけてる間は甘やかしてやる。」

「はあ?」

口移しされた愛煙を吐き出しながら怪訝な顔をする。

伊崎は奪った煙草を戸梶の唇に返し。

「好きだろ。」

甘やかされんの。

そう告げて乱れた髪を撫でてやる。

戸梶は諦めの意味で溜め息を吐きながら立ち上がった。

「………わかった。その前に飯にしてやるから。何がいい。」

ベッドから下りてドアに向かう途中で尋ねると、
自分の煙草を探している伊崎から素っ気無く答えが変える。

「和食。」

「……みゃー」

了承の返事の代わりに猫が一匹、可愛く鳴いた。












【†Gattina mia†】













「鳴けよ。」

椅子に座り、食卓に用意された朝食に手をつけながら、
足元にいる戸梶に告げる。

彼は躊躇いも無く。

「みゃー」

「……」

言われた通りに一声鳴いたが、伊崎は曖昧な顔をする。

続けて彼は小首を傾げ。

「みゃ?にゃんにゃん」

「……」

微妙な表情の伊崎に、戸梶は口元へ笑みを浮かべた。

そして彼の膝に片手を置きながら。

「瞬くん、おいし?」

と、尋ねる。

味噌汁に伸ばすところだった伊崎の手が止まり、笑みを深めた。

「お前、猫とかよりこっちの方が好きだろ。」

「………」

彼は黙っていたが、漏れた舌打ちが答えだろう。

床に座っていた戸梶は猫耳を外して立ち上がると、
伊崎の向かいの席に腰掛ける。

「一口ちょーだい?」

そう言って軽く開かれた彼の口に
伊崎は箸でとった玉子焼きを一切れ差し出した。















【†END†】
あとがき
勇次の鳴き声は「にゃー」では無く「みゃー」でした!
もうちょっとどうにかならなかったのか私ッ!!
ていうか、「瞬くん、朝ぁー起きてぇ?」がやれれば満足だった。
イェスッ!自己満足ッ!
なんだか…伊崎が思いっきり尻に敷かれてきましたね(笑)←元からじゃね?(マジでか)
瞬がドSでも何でもない…##APPLAUSE##20071212.


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